大人顔の機械式時計に潜む、とんでもない紆余曲折

2018.10.20 21:00

今回紹介するのは、発表されたばかりの新作腕時計だ。手掛けたのは『ビクトリノックス』。そう、ナイフのついたマルチツールでお馴染みのブランドである。腕時計のなかでもフラッグシップモデルに該当するこちらの「イノックス」シリーズは、ナイフ製造の伝統が培った鍛造技術によるタフネスが自慢。そのケースは、実に130種にも及ぶストレス耐久テストに合格して生まれた賜物だが、テスト内容がすごい。10mの高さからの落下実験に始まり、8tの荷重をかけられたり、ガソリンや殺虫剤などの化学薬品を浴びせられたり、業火にさらされたかと思いきや逆に-51度の極寒に放置されたり。聞くだけでも恐ろしい”拷問”をくぐり抜け、ようやく商品としてこの世に降り立ったのだ。

その強靭さ、我慢強さたるや、まさに尊敬に値する。しかも、今モデル「イノックス メカニカル」はタフなだけでなく、シリーズ初の機械式。信頼性の高いスイス製自動巻きムーブメント「ETA2842-2」の勇姿は、力強い輝きを放つSSケースの裏蓋から顔を出す。さらには、ルックスも至極エレガントだ。特筆すべきは、天然木を採用したストラップのデザイン。上質な革ベルトの表面にFSC(森林管理協会)認証のリンデン材を圧着し、そのうえで繊細かつ立体的な加工を施したウッドストラップは、美しく温かみのある表情とともに自然環境への配慮が見て取れる。ストラップに合わせてダイヤルにもギョーシェ装飾が施される点も見逃せない。

男子たるもの、若い頃は多少のやんちゃが元気の印。むしろちょっと尖っていたほうが、女子からの人気は高かったりもしたような。しかし、年を重ねたらそうはいかない。社会との帳尻を合わせて、時に苦労して我慢を重ね、それでも自分を見失わない。そんな紆余曲折があってこそ、世間からはちゃんとした格好いい大人とみなされる。それは、時計も同じなのかもしれない。ブランドの信念が貫かれながらも、優雅さをまとって生まれた「イノックス メカニカル」。格好良い大人にぴったりのニューモデルではなかろうか。

Text_Naoki Masuyama

DATA

ビクトリノックス・ジャパン株式会社

03-3796-0951

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機械式
ビクトリノックス(VICTORINOX)
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