時計ライターが死ぬ前に着けたい逸品時計を選んでみた

手間暇がかかった最上のものは、やはり値段が張るものです。値段相応にいいものを腕につけたい、と現時点で思わせる時計の決定版がこちらです。

黒野 一刻

2015.10.19

時計版「ナポリを見て死ね」

欧州のことわざに「ナポリを見て死ね」というものがあります。ナポリの絶品な夜景は、確かに死ぬまでに一見の価値ありと思います。そして、そんな「一度は見ておけ、触れておけ」というものは、あらゆるプロダクトにあり、腕時計だって例外じゃありません。

本当に貴重なのはどんな時計?

機械式時計はもはや嗜好品であり、本当に希少価値の高い時計は、アンティークにこそあるのかもしれません。ですが、機械製品である以上、進化も続いており、その進化も評価に含めるべきでしょう。そこで、今回のセレクトではアンティークは除外することにしました。

機械も作ってこそのオリジナリティ

重要なのは、オリジナリティが高いこと。ブランドを代表する現行モデルや最近生産終了になったモデルこそ、そのブランドのオリジナリティをよく表現できています。そこで、機械も自社で作るマニュファクチュールの製品をピックアップすることになりました。

複雑時計ばかりではありません

結果として、複雑時計ばかりを選んでいませんし、基本的には高価ですが、手の届く価格の時計もあります。しかし、最先端で、ブランドのアイデンティティを代表する時計ばかりが並ぶ結果となりました。そこにこそ「見てから死ね」の価値があるかと思います。

実際に手に入れられたらと思う機械式腕時計10点

天才時計師の機構を最新技術で再現『ブレゲ』トラディション トゥールビヨン フュゼ シリシオン

18~19世紀の天才時計師で「時計の歴史を2世紀早めた」と言われるアブラアン・ルイ・ブレゲを起原とするブランドの1本です。ブレゲその人が考案したトゥールビヨン、鎖引き機構などを現代技術でブラッシュアップ。最先端のシリコンヒゲゼンマイなどを採用しています。

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多くの特許技術を搭載し、画期性にあふれるモデル『パテック・フィリップ』コンプリケーション クロノグラフ 5170G-001

世界最高峰ブランドの『パテック・フィリップ』でも、クロノグラフは長年外部供給に頼ってきましたが、2005年から自社製クロノグラフ・ムーブメントが登場。2009年登場のこの時計が搭載するCH 29-535 PSは、いくつもの特許技術を搭載し、画期性にあふれています。

最高級のプラチナケース&ブレス『ロレックス』コスモグラフ デイトナ Ref.116506A

凄まじい人気を誇る『ロレックス』のクロノグラフですが、この仕様は特別です。デイトナ生誕50週年に登場しており、アイスブルー文字盤+プラチナケース&ブレスは、最高級のデイデイトにしかなかったデザインコード。その価値は、値段では計れないほど貴重です。

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新しい腕時計のスタンダードを示すモデル『オメガ』デ・ビル トレゾア マスターコアークシャル

1949年に登場し、一世を風靡したモデルを彷彿とさせるスタイリング。しかし中身は、1万5000ガウス以上の強耐磁ムーブメント、マスターコーアクシャルを搭載した高精度のクロノメーター。ケースも『オメガ』独自のセドナゴールド製。オメガ尽くしの最強の時計です。

最古級ブランドの意地を感じられる複雑時計『ヴァシュロン・コンスタンタン』トラディショナル・クロノグラフ・パーペチュアルカレンダー

現存最古級の260年という歴史を持つブランドは、最近も史上最多の複雑機能を搭載した時計を完成させたばかりですが、この時計はまだ手の届く可能性のある複雑モデル。クロノグラフに、2100年までの永久カレンダーを搭載し、時計技術の奥義を見せつけます。

複雑モデルの名手の革新性を表現した時計『オーデマ ピゲ』ミレネリー410

時、分、秒の表示のみと機能は基本機能に徹してしますが、伝統的な複雑機構の名手が、極上のベーシックムーブメントを開発し、その枢要部が映える時計です。冒険的なフォルムと相まって、ブランドの革新性を代表しています。

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航空クロノグラフのマイルストーン『ブライトリング』ナビタイマー01

初代モデルは1952年に登場し、パイロットが使う回転航空計算尺をインナーベゼルに移植した画期性で、現代でも『ブライトリング』を代表する時計です。現在は精度や整備性に至るまで死角のない自社製ムーブメントを搭載し、1本は持っておきたい時計の代表です。

ベーシックモデルにコンプリケーションを搭載『A.ランゲ&ゾーネ』サクソニア アニュアルカレンダー

ドイツ時計の代表とも言える雲上ブランドの一作です。サクソニアは、このブランドの芸術的な時計ブランドの中でも、アプローチしやすい時計ですが、2月末日の調整のみで済む、年次カレンダー機構を搭載し、手の届きやすいコンプリケーションを志向した名品です。

超ハイビートとトゥールビヨンを融合『ゼニス』エルプリメロ トゥールビヨン

テンプの振動数が2万8000振動以上のハイビートと、内部機構の摩擦も高まる複雑機構にはなじまないと言われますが、この時計は3万6000振動のムーブメント、エル・プリメロと複雑機構の極みであるトゥールビヨンを融合。『ゼニス』の技術力を見せつけます。

伝統的ブランドが目指した現代的革新『ジャガー・ルクルト』デュオメトル・クロノグラフ

開発力ではスイス随一を謳われる名門マニュファクチュールが、挑んだ革新的なモデルです。時計の計時機構を動かすゼンマイと輪列に、さらにクロノグラフを作動させるゼンマイと輪列を複線的にひとつの時計に詰め込んだ画期的モデル。現代だからこそできる発想です。

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