英国ブランドバブアーの顔、ビデイルを持っているか

一生モノに出会う30代。人生の節目に手に入れる1着として、英国のロイヤルワラントブランド『バブアー』のビデイルを候補に入れておきたい。

編集ムタガミ

2018.03.14

『バブアー』のビデイルが、いい大人にはよく似合う

いい大人になった男のアウターに、求められる条件とは何か。若い頃は一過性のデザインに流された買い物も良かったかもしれないが、酸いも甘いも知り円熟味を増した大人にはそれからの人生を長く付き合うに足る1着が必要になる。たとえば、着こなしを選ばず似合うオーセンティックな見た目と、手入れ次第で一生ワードローブに残すことのできる耐久性。そして、自信を持って人に語ることのできる歴史的背景。そんな要素を一手に引き受けてくれるアウターこそが、今なお英国にて生産を続けているロイヤルワラントブランド『バブアー』であり、同ブランドを代表するビデイルだ。

実はブランド内の歴史としては、1936年に登場したライダースジャケットであるインターナショナルのほうが長い。胸元の大ぶりなロゴ刺しゅうが特徴的な同作は1970年代までのレースにおいてほぼすべてのレーサーが着用したという伝説的な1着だ。

だが、1980年に乗馬用アウターとして開発されたビデイル、追って1983年にそれよりやや丈を長めに設定された狩猟用のビューフォートがリリースされるとその勢力は一転。『バブアー』は英国王室御用達のアウトドアウェアブランドとして認知されるようになり、ビデイルはその顔として世界的に知られるようになった。その要因としては、やはりオンからオフまで着こなしを選ばずにクラスアップさせてくれる普遍的なデザインが挙げられる。肩肘を張らず英国紳士を気取れる魔法のアウター。その着こなし方から順に、魅力を読み解いていこう。

▼デザイン:スタイル不問に似合う、ハンティングジャケットの完成形

オイルドクロスばかりが取りざたされるビデイルだが、世代や国を超えて愛される理由として前述のとおりそのデザイン性も一役買っている。ハンティングジャケットのディテールを踏襲したマチ付きの大ぶりなポケットやコーデュロイ生地で切り替えた襟をアクセントとし、落ち着いた印象を与える美しいAラインシルエットを形成。フロントを開けて着用すればライニングのブリティッシュチェックが着こなしに華を添え、何よりオイルドクロスの艶がタフな男を演出してくれる。ジャケットスタイルにはもちろん、シャツにざっくりと羽織ってもスタイルを作ってくれる汎用性の高さもまた、ビデイルの魅力だ。

1人目クリーンなセットアップのビジネススタイルにも

クセのないAラインを描くビデイルの端正なシルエットは、フォーマル度の高いネイビーのセットアップスーツにもよく似合う。太幅のタイでシックに決めたスタイリングに、ビデイルの程良いスポーティさが大人の抜け感を演出。このコーデでは、セレクトショップ『エディフィス』の別注としてライニングにゴールドのファーをあてがった1着をオン。よりラグジュアリーな空気を醸成している。

2人目Gジャンを挿した武骨なワークスタイルにも

ワイドなパッカリングパンツにGジャンをセットした男くさい着こなしもまた、ビデイルの真骨頂。着古してオイルの濃淡が出始めたオイルドクロスが、ビデイルをワークスタイルにマッチするタフな印象に引き上げてくれる。インナーにはカスタムオーダーブランドの名門『インディビジュアライズドシャツ』のボタンダウンシャツを合わせ、あくまでクリーンに引き締めているテクにも注目したい。

3人目春らしい軽快なきれいめスタイルにも

同じカジュアルでも、現代的なシャープな着こなしにもビデイルはよく似合う。春を感じさせる白ニットに、スリムなテーパードシルエットがクリーンさを醸成するフラノパンツ。パンツの丈は9分丈に設定し、短丈のレザーシューズを素足履きで爽やかな空気を漂わせている。インナーはフレンチ、アウターはブリティッシュという組み合わせでも、サイジングをコンパクトにまとめれば違和感なく仕上がる。これもまた、ビデイルの懐の深さを感じさせる。

▼素材:ビデイルを手に入れる前に知っておきたい、オイルドクロスのこと

スタイリングにおけるビデイルの万能さに触れてもらったところで、ここからは機能にまつわる話を。まずは、『バブアー』製品の最大の魅力でもあり、特徴でもあるオイルドクロス。長い歴史に裏打ちされた画期的な機能素材であるとともに、ビデイルを筆頭とした同ブランド特有の色気を醸し出す唯一無二のマテリアルだ。

ただ、ここ日本においてオイルドクロスと長く付き合っていくにはちょっとしたコツが必要になる。同素材の歴史を読み解くとともに、そのポイントを理解しよう。

歴史英国軍にも認められた、1894年に開発された機能素材

『バブアー』が生まれたのは、イングランド北東部のサウスシールド。気まぐれな北海の天候の下で作業をする水夫や漁師のために、上質なコットンにオイルを染み込ませた生地を提供したことがブランドの始まりといわれている。通常のコットン生地に比べて圧倒的な防水性、防寒性、そして耐久性を有した同生地の評判は瞬く間に広まり、2度の大戦中は英国軍の防水服にも採用されていた。そんなオイルドクロスを使用しているビデイルもまた、高い機能性を保持している。

注意オイルドジャケットを街で着るには注意が必要

そんな歴史的背景を持つ素材であるオイルドクロスだが、満員電車や人ごみなど他人と密着するシーンの多い日本では同素材がトラブルを引き起こすことも。購入当時は気にならなかったオイルのにおいも酸化が進むとだんだん強くなり、染み出したオイルが他人の服やカバンに付いて染みになってしまうこともある。だが、オイルドクロスの経年変化はデメリットばかりでない。使用によるオイルの濃淡が生まれ、レザージャケットなどとはまた異なる独特の艶が出てくるのも同素材の強みだ。その長所短所を理解し、長く付き合っていくのもまた、大人の『バブアー』の楽しみ方だろう。

手入れオイルが抜けても、あわてる必要はない

『バブアー』のオイルドクロスの高い防水性と防寒性は、染み込ませた「ソーンプルーフドレッシング」の効果によるもの。経年によりオイルが落ちてしまえば、その機能性も低下していくことになる。正規代理店でリプルーフしてもらうのも手だが、純正オイルを購入することで自宅でもケアを行うことが可能だ。手順を下記に簡単にまとめてみた。一般的にオイルがコットンになじむまで3か月を要するといわれているので、8月~9月頃にリプルーフしてオンシーズンに備えたい。

1. 表面の大きなほこりやゴミをブラッシングで落とす。
2. 水を染み込ませたスポンジで、生地の汚れをふき取る。このとき温水を使用してしまうとオイルが溶け出してしまうので注意。
3. 水ぶきした部位が乾くまで干す。
4. 純正オイル「ソーンプルーフドレッシング」のふたを開けて、缶ごと湯煎。
5. 溶けたオイルをウェス(布)に取り、全体に塗りこんでいく。体温でなじみが良くなるため、布ではなく手で、という人もいるがそこは好みで。
6. ドライヤーを当てながらオイルを均等に伸ばし、むらをなくす
7. 風通しのいい日陰で干し、完成。

また、そもそも『バブアー』はオイル抜きをしてから使う、という人も少なからずいる。専門の業者もあるようだが、自己責任において自宅で行うことも可能だ。通常『バブアー』にはタブーとされる60度程度の温水に洗剤と一緒に漬け洗いをし、オイルが落ちるまですすげば完成だ。ただ、オイルが抜けた分、色が薄くなり防寒性・耐久性も低下するなどのデメリットが生じることも覚悟して行ってほしい。

▼サイズ:フィッティングはオリジナル(ノーマル)と「SLシリーズ」がある

英国のワークシーンを発祥とするだけあり、胸板や肩幅がないとなかなかさまにならないのがオリジナルのビデイルの悩みどころ。だが、ここ日本ではうれしいことに胸囲や腕ぐりがコンパクトにリサイズされた「SLシリーズ」が販売されている。セレクトショップなどでの取り扱いも、今ではこの「SLシリーズ」が圧倒的多数派だ。身幅のもたつきもなくシルエットもスマートなので、都会的な着こなしやビジネスシーンでの活用にも間違いなくハマってくれる。

▼ちなみに:オプションパーツを取り付けることで、使い勝手が向上

初めてビデイルを手に入れたとき、「首周りのスナップボタンはなぜ付いているのだろう」と思った人はいないだろうか。『バブアー』では、襟裏に取り付けられる共地のフード、ライニングとして使用できるファーベストなどのオプションパーツを別途販売している。これにより、オイルドクロスでは対応できないような極寒の地や、雨の多い土地でも快適に使用することができるのだ。オーナーの必要に応じてカスタマイズができる点も、リアルなワークウェアを発祥とする『バブアー』らしい一面といえるのではないだろうか。

現代的に着こなすなら、セレクトショップの別注という手も

本家本元の『バブアー』ビデイルについて解説を行ってきたが、ここからは一風変わったモデルを求める人に向けた別注アイテムを紹介していこう。すでに1着手に入れている、オイルドクロスが苦手、よりスマートに着こなせる素材のモノが欲しい……という人は必見だ。

1着目『ジャーナルスタンダード』別注

スリムフィットのSLシリーズをベースに、ストレッチナイロン素材でメイク。ウォッシュがかった独特の風合いで、軽快なだけでなくシワにも強いデイーリーユースにももってこいの1着となっている。裏地がメッシュであるため、春の着こなしに取り入れても蒸れ知らず。通常オプションとして別売りとなっているフードを標準装備しているのも、うれしいポイントだ。

2着目『シップス』別注

現代的なシルエットが売りのSLシリーズではなく、あえて80年代に製作されていたオールドビデイルを別注。フラップのある胸ポケットが、オールドモデルの証だ。素材にはドレスシャツに用いられているポプリン、別名ブロード生地を採用。ナイロンを混紡しているためシワも付きづらく、端境期にもぴったりの軽快な仕上がりになっている。

3着目『インターナショナルギャラリー ビームス』別注

こちらは、ナイロンとポリエステルを高密度に織り上げたポプリン素材を使用。発色が良く、光沢のある素材感が特徴的だ。オリーブやネイビーといった定番カラーもひと味違った風合いを見せているが、おすすめしたいのは色鮮やかなブルー。より洗練された着こなしをビデイルに求めるなら、まず間違いない選択だ。

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