ドイツの職人技術の粋。ハインリッヒディンケラッカーを履く

『ハインリッヒディンケラッカー』とは“靴のロールスロイス” とも称されるドイツの名門シューズブランド。ご存じない人も、その魅力を理解すれば履きたくなるはずです。

平 格彦

2018.08.01

『ハインリッヒディンケラッカー』とは

1879年に創業したドイツの名門シューズブランド『ハインリッヒディンケラッカー』。”前進する1m毎に心からの享楽を提供する”というマインドを140年近くも持ち続けています。マイスターの称号を持つ職人が伝統的な製法によって約300もの工程を手作業で仕上げているため、生産数は年間わずか8,000足ほど。つまり、同ブランドのオーナーになれる人は極めて限られているのです。徹底した比類なきこだわりで木型やインソールなどのあらゆるパーツを追求。“靴のロールスロイス”と呼ばれるほどの履き心地を実現しています。

匠の技の賜物。『ハインリッヒディンケラッカー』の革靴の魅力

高い技術力を誇る『ハインリッヒディンケラッカー』は、ラストや靴のタイプに合わせて靴の製法を使い分けています。その中でも高度な製法のひとつがノルヴェイジャンウェルト製法。L字型のウェルトを出し縫いとすくい縫いで縫い付けてアッパーとソールの隙間をなくし、雪原を歩いても水が浸透しないように工夫されたノルウェー発祥の高度な製法です。これは、『パラブーツ』でも見られる製法ですね。

さらに『ハインリッヒディンケラッカー』は特殊で、弁髪縫いを使用。2本の丈夫な革ひもを編み込みながらロウ引きの麻糸で縫い合わせるという手仕事ならではの縫い方で、耐久性と装飾性を兼備しています。

同ブランドの代表的なモデルのインソールは厚みがあり、履き込んでいくうちに足型がしっかりと沈み込んでいきます。その結果、インソールは履く人の足にあった形状になり“まるで絨毯の上を歩いているような感覚”と形容されるほどの快適性が生まれます。そのフィット感こそ、“靴のロールスロイス”とも評される所以です。

履き心地やフィット感に直結するディテールとしてはヒールカップも挙げられます。とくにシューレースがないスリッポンタイプの場合、ヒールカップがフィット感に直結します。

『ハインリッヒディンケラッカー』のヒールカップは美しい曲線を描きつつ、内側に傾斜のついた形状がかかとを包み込んでくれるため、スリッポン型でも足抜けが起こりにくくなっています。人間工学に基づいた靴作りと、ハンドメイドの技術力が伴ってこそなせる業です。

靴底にも『ハインリッヒディンケラッカー』ならではのクラフトマンシップが現れています。とくに代表モデル「リオ」の靴底は顕著で、6本セットの化粧釘が11箇所に打ち込まれています。さらに、つま先には摩耗を防ぐメタルプレートまで配置。ちなみにブランド定番の本底はドイツの名門『ジョーレンデンバッハ』製で、細部まで抜かりなく品質を追求しています。

じっくり育てたい。『ハインリッヒディンケラッカー』のアイテム

『ハインリッヒディンケラッカー』で使用している木型(ラスト)は全部で11種類もありますが、主要なのは5つ。その木型毎に代表的なモデルをピックアップし、木型の特徴と靴の魅力を解説します。

アイテム1リオ(コードバン)

ブランドのアイコン「リオ」は、誕生したから60年以上を経た今でも不動の人気を誇っています。トリプルソールハンドソーンウェルテッド製法を採用。2層目まではハンドソーンウェルテッドで取り付け、3層目をセメント接着した上にメタルプレートをネジで留めています。トゥはしっかりした印象ですが、大きめのメダリオンが華やかで気品も感じさせます。ブランドで使用しているコードバンは基本的に、アメリカの名門タンナーとして有名なホーウィン社のシェルコードバンです。

アイテム2ブダ(コードバン)

40年前に誕生して以来、「リオ」とならベストセラーモデルとなっている「ブダ」。すでに解説した独自のノルヴェイジャンウェルト製法を採用しているため、張り出したウェルトに2本の三つ編みが見え、独特な存在感を放っています。フルブローグの表情とともに、武骨なムードと華やかさが共存。

アイテム3ウィーン(ヌバック)

ハンドソーンウェルテッド製法で仕立てたコインローファーです。シングルソールをハンドソーンに縫い上げた靴底は屈曲性が抜群。クッション性にもすぐ、歩き続けても快適な着用感が続きます。また、前述のヒールカップによって足抜けも克服。ブルーのヌバックはヴィンテージデニムのような風合いがあり、大人なカジュアルスタイルにマッチします。

アイテム4ルツェルン(アンティークカーフ)

もっともヨーロッパらしいシャープなフォルムが魅力。日本ではあまり知られていませんが、ドイツ本国では色っぽいという理由で1、2位を争うほど人気の木型です。ハンドソーンウェルテッド製法を採用したダブルソールはクッション性が抜群で履き込むほどに自分だけのフィット感が向上。このチャッカブーツはセミブローグの装飾が適度な華を感じさせ、バランスの良い面持ちに仕上がっています。アッパーの素材はイタリア産の品位なアンティークカーフです。

アイテム5ロンドン(コードンバン)

ネーミングの通り、格式の高い英国紳士をイメージさせるような木型。抑制が効いているフォルムから気品が漂っています。ハンドソーンウェルテッド製法で、もっともフォーマルなストレートチップに仕上げるのが定番。アッパーの素材も最上級なホーウィン社のシェルコードバンなので、履き込むほどに光沢や味が増し、エイジングを楽しみながら長く愛用できます。

逸品はこう合わせる。着こなし例をご紹介

オールハンドメイドで丁寧に作られる『ハインリッヒディンケラッカー』の靴は、上品な佇まい。品の良いドレッシーな装いにマッチするのは当然ですが、実はカジュアルな着こなしにも使えます。

着こなし1ショートパンツを使った夏のスタイルを足元から格上げ

暑い夏に頼りたくなるのがショートパンツ。子供っぽく見えないようにまとめるのがポイントですが、そこでエレガントな靴が役に立ちます。靴が浮かないようにシャツを合わせて品格を高めているのもポイントです。ホワイト基調のモノトーンスタイルを築きつつ、ベルトを効かせた今夏らしい着くずしも見事!

着こなし2クラシックかつ武骨に仕上げたシャツスタイルの好例

同じシャツを使ったスタイルでもこちらはクラシックなムードを意識。サスペンダー&カーゴパンツで、男っぽい風格を演出しています。武骨ながらも上品な着こなしの構築には、ソールが厚めのフルブローグシューズが最適。首元にサスペンダーと色味を合わせたスカーフを巻くことで、さり気なく気品を高めているテクニックも巧みです。

着こなし3無造作で洒脱な大人なカジュアルスタイルのお手本!

基本的には定番的なアイテムしか使っていませんが、バランスが秀逸。タイトなGジャン×ルーズなミリタリーパンツというスタイリングがセンスを感じさせます。パンツのボリューム感に負けないウイングチップの靴を合わせているのもポイント。無難になり過ぎないように靴ヒモを白にアレンジし、ソックスで柄を差して個性もしっかり打ち出しています。

着こなし4アメトラなスタイルの締めとして上品な革靴を活用

トップこそパーカーでカジュアルですが、それ以外のアイテムはアメトラ調で大人らしいニュアンス。スリムなシルエットが美しいパンツから、エレガントなフォルムのペニーローファーへとつながる下半身のシルエットがとくに落ち着きを感じさせます。スニーカー代わりに名門ブランドのローファーを履くだけで一気に品位が高まるので、是非トライしてみてください。

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