5大時計大国から探す、人気腕時計ブランド15選

例えば日本人はまじめ、イタリア人は陽気などと言われるように、その国民性はさまざま。同様に、実は腕時計も製造国によって性格が大きく異なるんです。

夏目 文寛

2018.03.23

時を知る“道具”である腕時計には、お国柄が出やすいもの

「信頼の◯◯国製」「◯◯国製ならではの官能的デザイン」など、生産国によって商品の特徴をアピールすることってよくありますよね。腕時計はその地に根付いた伝統産業であることから、お国柄が顕著に出るアイテムなんです。とくに腕時計は実用性もさることながら、所有することを感じられる嗜好品。だから生産国の文化的側面や哲学を含めて腕時計選びをすると選ぶ愉しみが増えるし、製作の背景を知ると何より愛着が湧きますよね。5大製造国に絞って、それぞれのお国柄をチェックしていきましょう。

▼スイス:歴史に裏打ちされた、品格と技術

腕時計超大国といっても過言ではないくらい、スイスは世界に冠たる存在感を誇っています。その強さを一言で表せば、伝統。スイスには「スイスネス法」という法律があり、腕時計でいえば製造コストの60%以上がスイス国内で発生しないとスイス製と謳えません。それほど国家がスイスメイドという伝統を大切に守っているのです。では、その伝統とは何かといえば、400年にも渡って職人たちが守り続けてきた技術と、長年築き上げてきた信頼にほかなりません。とくに、ゼンマイで動く伝統的な機械式腕時計の製造において、職人の質・量ともに他国を圧倒しているのがスイスなのです。

スイスブランド1『ロレックス』圧倒的な知名度を持つ高級腕時計の巨人

『ロレックス』は創立から110年あまりと、スイスの中では比較的新しいブランド。現在、これほどまでに名声を得ているのは、先進機能を他社に先駆けて開発し腕時計を真の実用ツールにしたことにあります。たとえば、ゼンマイを自動で巻き上げる仕組みは同社「パーペチュアル機構」で初めて実用に足るものになりましたし、日付表示が瞬時に変わる機構も同ブランド発。そして、水に強い腕時計を作ったのも『ロレックス』です。その象徴がこの「サブマリーナー」。同モデルは、機能やデザイン面で以後登場するあらゆるダイバーズウォッチのお手本になった歴史的モデルです。

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スイスブランド2『オメガ』信頼のスイス製を象徴するビッグネーム

興奮のうちに幕を閉じた2018年平昌オリンピックでOMEGAの文字を見ない日はなかったのではないでしょうか。それもそのはず、『オメガ』は1932年以降28回も公式タイムキーパーを務めているのです。この実績は1848年の創業以来培ってきた圧倒的な技術力ゆえ。2017年に誕生60週年を迎えた「スピードマスター」は、『オメガ』のそんな信頼性を表す代表作です。1969年、アポロ11号でバズ・オルドリン氏が月面着陸した際、腕にしていたのが「スピードマスター」なのです。宇宙に行くためのNASAの適性試験は非常に厳しいことで知られ、見事パスすることで実力を証明しました。

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スイスブランド3『IWC』アメリカ、スイス、ドイツのいいとこどり

『IWC』は1868年、スイスのドイツ語圏に位置するシャフハウゼンに創立されました。創業者はアメリカ人のフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ氏。アメリカのフロンティア精神とスイスの伝統、そしてドイツの実直なモノ作りが融合しているのが特徴です。つまり革新的な機能を伝統的な手作りで精密に仕上げているのです。ここで紹介する「ポルトギーゼ」はそんな『IWC』らしさ満点のモデル。1930年代、ポルトガル商人からマリンクロノメーター(船舶用の非常に正確な業務用大型時計)に匹敵する精度の腕時計をリクエストされ、同社が見事応えた1本が原型となっています。

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▼ドイツ:求められたのは、精密機器としての腕時計

「ドイツのクラフトマンシップ」という言葉があるように、生まじめな職人魂が生みだす合理的で質実剛健な作り込みがドイツの特徴です。バウハウスが提唱した機能主義の流れをくみ、過度な装飾を施すことなく、シンプルで視認性の高いデザインもジャーマンウォッチならでは。第二次世界大戦後、ドイツ腕時計産業の中心地グラスヒュッテが東ドイツの社会主義に組み込まれ、名だたるブランドが国営企業として合併されてしまうという苦難の歴史もありましたが、現在では完全復活し、優れた技術力と精緻なモノ作りによって腕時計大国の仲間入りを果たしています。

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ドイツブランド1『ランゲ&ゾーネ』甦ったドイツウォッチの最高峰ブランド

世界4大高級腕時計ブランドのひとつに数えられる最高峰ウォッチメーカーです。1845年、ドイツ・ザクセン州グラスヒュッテの地でアドルフ・ランゲ氏が小さな工房を開いたのがその始まり。その後グラスヒュッテには優れた職人が集まり、ドイツ腕時計産業の中心地になっていきます。第二次世界大戦後は東ドイツ政府により国営企業に接収されますが、統一後、4代目ヴァルター・ランゲ氏がブランドを復活させ、1994年ついに復興後初となるモデルが発表されました。それがアウトサイズデイトが目を引く「ランゲ1」です。王宮時計の伝統美を継承した気高さあふれる佇まいはたちまち評判になり、完全復活を印象付けるブランドの代表作となりました。

ドイツブランド2『ユンハンス』実直なモノ作りを続ける創立150年超の名門

『ユンハンス』は1861年にシュランベルクで誕生した代表的ドイツブランドです。20世紀初頭には、世界最大の時計メーカーでもありました。1930年代には伝統的な機械式ムーブメントを自社開発、優れた技術力で名をはせます。また先進技術を積極的に採用しており、世界初の電波式腕時計も手がけています。日本ではバウハウス最後の巨匠、マックス・ビル氏がデザインしたシンプルウォッチによって人気を博しています。ミニマリズムが貫かれ、まったくむだな要素がないタイムピースは時代を超えた普遍性を持つ腕時計史に残る名作と言っていいでしょう。

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ドイツブランド3『ノモス グラスヒュッテ』新興ながらドイツ最大のマニュファクチュール

『ノモス グラスヒュッテ』は1990年にドイツ時計の聖地グラスヒュッテに創業した新興ブランド。グラスヒュッテの伝統を頑なに守りつつ自社でムーブメントを開発、製造するマニュファクチュールとして現在ではドイツ最大の機械式腕時計メーカーに成長しています。2014年にはスイスのニヴァロックス・ファー社が独占してきたヒゲゼンマイを含む脱進機を自社で開発し世界を驚かせました。「タンジェント」はブランドを代表するフラッグシップモデル。バウハウスの流れをくむシンプルなモダンデザインですが、青焼きの針や裏ブタのシースルーバックからのぞくペルラージュ加工を見ると、グラスヒュッテの伝統的な製法が息づいているのがわかります。

▼フランス:腕時計に格式とデザイン性を求めるなら

16世紀、フランスの時計産業はスイスよりも発達していました。宗教弾圧により、優れた職人が亡命した後、イギリス、スイスに時計産業の主役は移りましたが、18世紀には希代の天才時計師ブレゲ師がパリで活躍するなど、時計文化の歴史は豊穣です。フランスは貴族文化の中心地であり、名門ジュエラーを数多く生んだ装飾大国。そのため、伝統を重んじながらも腕時計作りにおいてもクラシカルかつエレガントなデザインがフランス腕時計最大の特徴となっています。近年も『カルティエ』や『ルイ・ヴィトン』といったハイブランドが優れた傑作を発表しています。

フランスブランド1『カルティエ』世界で初めてのメンズ腕時計を製作

ご存じ超有名ジュエラーの『カルティエ』ですが、エポックメイキングな腕時計を登場させているんです。1904年、ブラジル人サントス・デュモンから依頼を受け、メンズでは世界で初めてとなる腕時計「サントス」を作り上げたのです。当時、腕時計は女性の装飾品と考えられ、男性は懐中時計を使用していました。「サントス」は1911年に一般発売されると瞬く間に評判になり、ウォッチメーカーとしても『カルティエ』の名声を高めたのです。初めて『カルティエ』を買うのなら、知名度抜群の「タンク」もおすすめです。レクタンギュラーケースとローマンインデックスの組み合わせは、フランス流のエレガンスを腕元からもたらしてくれるでしょう。

フランスブランド2『ベル&ロス』デザイン性と機能性を融合させたニューカマー

フレンチブランドらしい奇抜なデザイン。それなのにスーツにつけこなせるほどのエレガントさを併せ持つ『ベル&ロス』。誕生したのは1992年のパリ。ユニークなルックスからファッション腕時計と見られがちですが、実はパイロットやダイバーのためのプロフェッショナルウォッチとして開発されており、狂わない、壊れないといった実用性が、腕時計愛好家からも高い評価を得ています。代表作「BR 01」は、航空機の計器をイメージしたスクエアケースで、シンプルな文字盤が個性的なフォルムの主張を中和しながら、視認性を確保することに成功しています。

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フランスブランド3『ブレゲ』フランスで創業した、時計界の天才が作った超名門ブランド

現在はスイスに本拠地を構えるブランドですが、創業者アブラアン・ルイ・ブレゲ氏が、1775年にフランスのパリで創業し活躍したことに敬意を払い、フランス枠でご紹介しましょう。『ブレゲ』は、時計の根幹をなす数々の技術やデザインを発明した超重要人物。フランス王妃マリー・アントワネットのために超複雑時計を製作したことでも有名です。「クラシック」はブレゲが発明したデザイン意匠がてんこ盛りのモデル。先端が月のように見える針や文字盤の規則的なギョシェ、エレガントなラグの形状はすべてブレゲ氏が考案しました。ちなみにこの針の形はブレゲ針という一般名称にもなっています。腕時計の歴史にどっぷり浸かりたい方におすすめです。

▼アメリカ:ゴールドラッシュから変わらぬ新技術への探究心

アメリカ時計の特徴は精度と屈強さを併せ持つ徹底的な実用性。そんな時計作りのきっかけとなったのが、ある鉄道事故なのです。1891年、機関士の時計が狂っていたことが原因で、「キプトンの悲劇」と呼ばれる悲惨な鉄道事故が発生しました。この事故を受け、精度や視認性にまつわる8つの基準を定めた「レイルロード・アプルーブド」という非常に厳しい規格が策定されます。この基準を満たすため、アメリカの時計メーカーは精度やタフさを追い求め、結果として高い信頼性を得たのです。さらに圧倒的な工業力を背景に、安価でタフ、それでいて正確な腕時計を大量生産し、世界的な名声を得ることになります。

アメリカブランド1『ハミルトン』アメリカ時計の歴史を体現する名門

現在は本拠地をスイスに移しましたが、元は米国ブランド。19世紀末から、鉄道時計用に正確無比な懐中時計を開発して名声を得ます。その信頼性を武器に1918年にはアメリカ航空郵便サービスの公式時計に採用。後に大手航空会社のほとんどが『ハミルトン』を指名するまでになりました。またアメリカ陸軍が正式採用するなど、ミリタリーウォッチとしても有名です。「カーキ」はベトナム戦争をはじめ、実際の戦場で使われたリアル軍用腕時計。大量の兵士に支給される軍用品は丈夫で安価であることが必須であり、「カーキ」もご多分に漏れず最高のコスパを誇ります。

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アメリカブランド2『ブローバ』驚きの機構を開発した先進ブランド

1875年にジョセフ・ブローバがニューヨークに宝飾店を開いたのが『ブローバ』の始まり。世界初のラジオおよびテレビCMの製作、NASAの月面着陸計画では計器を提供するなど、パイオニア精神あふれるブランドとして知られています。その名を世界に知らしめたのは、何といっても1960年に発売された「アキュトロン」です。同作は音叉の規則的な振動を調速に使用した画期的な腕時計で、機械式腕時計では不可能だった日差2秒を実現したのです。「アキュトロンⅡ」は、一般的なクォーツムーブメントより高振動な独自のハイパフォーマンスクォーツを搭載し、秒針が途切れなく動くスウィープ運針が売り。シックなデザインも好評価です。

アメリカブランド3『タイメックス』アメリカンウォッチ最後の砦

『タイメックス』はアメリカ人にとって国民的ブランド。なぜなら、先に紹介した『ハミルトン』はスイスのスウォッチ グループ傘下、『ブローバ』は日本のシチズン傘下、純アメリカブランドと呼べるものは『タイメックス』のみになってしまったからなのです。前身となる会社は1854年から創業しており、当初から大衆向けの低価格ウォッチを得意としていました。近年大ブレイクした復刻版「キャンパー」はベトナム戦争時代のミリタリーウォッチ。小振りで腕馴染みが良く、どんな装いにもマッチしてくれます。

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▼日本:正確かつ合理的。世界に誇る実用腕時計

日本の近代的な腕時計製造は19世紀末から始まっていますが、あくまで西洋のコピーに過ぎませんでした。日本の腕時計が世界の主役に躍り出たのは1967年、『セイコー』が世界で初めて発売したクォーツ式の腕時計からでしょう。従来の機械式にくらべ圧倒的に高い精度を持つクォーツ式腕時計を手に入れ、1980年にはスイスを抜き日本が世界一の腕時計生産国となったのです。近年ではGPSや電波式腕時計などのハイテク技術や、チタンなどの新素材を積極的に採用したモデルを次々と登場させ、丈夫で狂わない腕時計といえば日本製というステータスを獲得するに至っています。

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日本ブランド1『セイコー』技術力は世界屈指! 日本を代表する腕時計ブランド

前身となる服部時計店が創業した1881年以降、日本のトップメーカーとして名を馳せてきた『セイコー』。1967年には世界初のクォーツ式腕時計『アストロン』を発表し海外勢を駆逐、日本を世界最大の腕時計生産国に育てました。実は機械式の分野でも『セイコー』は突出しており、心臓部であるヒゲゼンマイを自社で製造できるメーカーは世界でも片手で数えるほどしかありません。『グランドセイコー』に搭載した独自機構スプリングドライブは機械式とクォーツ式のハイブリッド。これは『セイコー』にしかできない日本の技術の結晶で、1度は手にしたい逸品です。

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日本ブランド2『シチズン』最新技術を使いこなすハイテク集団

1918年に創業して以来、『シチズン』の歴史は革新の歴史でした。世界最薄の3針機械式、世界初の純チタンケース、世界初のBluetooth搭載モデルなどなど、その業績は挙げていけばキリがないほど。イノベーションは現在も続いており、世界のどこにいても正確な時間がわかるサテライト ウエーブ GPSやステンレスの約5倍の硬度を持つスーパーチタニウムなど、時代に先駆ける技術が次々と開発されています。『アテッサ』は『シチズン』の最先端を体感できるフラッグシップモデル。上に挙げた2つの機能のほか、クロノグラフやデュアルタイムを搭載しています。

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日本ブランド3『カシオ』日本が誇る最強のデジタルブランドを展開

総合電子機器メーカー『カシオ』が腕時計界にその名を轟かしたのは1983年の『Gショック』の登場時。その後も『カシオ』は腕時計ブランドとして躍進し、最新テクノロジーを極めた『オシアナス』や、プロアルピニストが愛用するアウトドアウォッチ『プロトレック』、スポーティなクロノグラフラインの『エディフィス』など豊富なラインアップを展開しています。今年35周年を迎える『Gショック』の勢いは顕在で、GPSや電波ソーラーなど最新のテクノロジーを搭載した新作が発表する一方、オールドファンが歓喜する復刻ラインも注目を浴びています。

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