トラッドとは? 大人が押さえておくべきトラッドスタイルのすべて

基本を知らなければ応用もままならない。昨今のメンズファッションにおいて、しっかりと基本を押さえておきたいのはトラッドスタイルだ。

菊地 亮

2018.02.21

“トラッド=伝統的”。つまるところ、どんなファッションなのか

トラッド(トラディショナル)・スタイルとは、“伝統的な”との和訳どおり時代に左右されない普遍的な服装を指す。その源流をたどれば、やがて行き着くのが英国紳士の着こなし。ウール地の3つボタンのスリーピースに身を包んだタイドアップで、ガン・クラブチェックやグレナカートチェックといった伝統的な柄を配したアイテムを身につけることが特徴として挙げられる。ちなみに、アメリカへと伝わり、独自の進化を遂げたのがアメリカン・トラディショナル。

なぜ男はトラッドなファッションに引かれるのか

本来、英国の特別な社会階級の男性を指す言葉である“紳士”。昔は、社交場に集う英国の上流階級の人間たちがいわばファッションリーダーだった。彼らの着こなしから立ち居振る舞いは世の男たちの高い目標。映画『007』のジェームス・ボンドのように、そのダンディズムは、昔も今も変わらぬ理想の男性像として深く根付いている。

今の時代にトラッドを着こなすために……

伝統への敬意から、トラッドにはそれにのっとった暗黙のルールがある。とはいえ、それにとらわれてしまうと時代錯誤感も出かねないため、バランスの良い引き算が重要に。シャツからカットソーへ、またはテイストの異なるボトムスにするなど、旬をさりげなく乗せつつ趣向を変えれば、今の時代にフィットするトラッドスタイルが作れる。

クラシックが旬の今、進むべきは“いかにも”なトラッドか“ライト”なトラッドMIXか

ひとつのテイストに固執しない“今”のシーンなら、トラッドをベースに異なる要素を取り入れたMIXスタイルのほうがシーンにはマッチしやすい。濃紺のジーンズなどは最たる例。アウトドアを筆頭にスポーティーなアイテムを加えるのも面白い。

トラッドを堪能する。そのとき手に取るアイテムとは

トラッドなスタイリングを作るうえで欠かせないアイテムがある。すべて取り入れるもよし、一部取り入れるもよし。ここでは、アウターやボトムスなど、各カテゴリー別にトラッドコーデに欠かせない代表的なアイテムを取り上げたい。

起源は、第一次世界大戦前に英国軍が寒冷な欧州での戦いに備えて作った軍用コートと言われるトレンチコートは、1930年ごろには一般へと普及。ハンフリー・ボガート氏らが袖を通したことで人気に拍車がかかったアイテムだ。『リチウム オム』のそれは、体を包み込むエレガントなフォルムや、ベルトを締めたときに浮かび上がる男らしいドレープなど、ダンディズムを表現するに最適な逸品。

トラッドな着こなしにジャケットは欠かせない。とりわけ象徴的なのがダブルブレストのようなクラシカルな1着。一説には海軍の制服からきているというダブルブレストの、威風堂々としたたたずまい。その紳士然とした趣を生みつつも、今季的なゆったりとしたシルエットに仕上げられている『ノット メン』の1着はぜひとも手に入れておきたいところ。

ネクタイもまた大きなポイント。とくに英国軍の各連帯の象徴であったレジメンタルストライプの入った1本は、なじみがある分手に取りやすい。英国調のスーチングを指向するなら写真のようにストライプが右に向かって上がっているモノが正解。『ドレイクス』の1本ならば、見た目も質もこだわる大人にとっては間違いないはずだ。

すべての大人にとって、単体でも品行方正に見せることのできるシャツは欠かせない。当然、トラッドスタイルを志向するうえでも大切なアイテムの一種。理想はフルオーダーだが、上質な生地を使用した英国の既製品のシャツも無下にはできない。手にするならどのスタイルともフィットする白が基本。品質にもシルエットにもこだわるのならば、1885年に誕生した『ターンブル&アッサー』はとくにチェックしておきたい。

ファッションのさまざまなスタイルから見れば、やはりトラッドは構築的なスタイルに分類される。そのためジャケットや、シャツ、タイにスラックスという組み合わせが基本。ウール素材で仕立てながら、社交界のファッションアイコンとしても有名だったウィンザー公が愛用していたグレンチェックをあしらったモノならば、そのたたずまいや使いやすさも抜群だ。

足元はやはり革靴。形もデザインもさまざまあるが、基本に忠実に、最もフォーマルとされるストレートチップのプレーントゥをおすすめしたい。レースアップ部分は内羽根式が適任。高級革靴のなかでも支持される『エドワードグリーン』ならば、洗練と上質を手にすることができる。

ジェントルマンのファッション小物としてまず挙げられるのがハット。燕尾服にモーニングコートを身につけたスタイルは昔から第一正礼装とされ、そこへ合わせるシルクハットはよく知られるところ。ただ、街を意識するならフェルト地の中折れタイプがお堅い印象もなく上品に仕上げられる。

カフリンクスの源流をたどればやがては17世紀のフランスに行き着く。当初は、袖の装飾としてリボンやレースを使用していたが、いわば上流階級の証しとして後に金や銀のボタンを鎖でつなぐようになった。クラシックスーツとの見事な調和のうえに成り立つファッション小物としてチェックしておきたい。

ブレイシスとは、アメリカ英語でいうところのサスペンダー。伝統として、紳士のボトムスはベルトではなくサスペンダーで吊るのが正装とされている。クリップ式とボタン留め式があり、フォルムもH型やX型などさまざま。その発展の流れとしては、18世紀は背中がH型のモノ、18世紀の終わり頃にはX型、19世紀の中頃にはY型と変化していった。

英国紳士がこぞって持ち歩いていたのがステッキ。戦争時代に持ち歩いていたソードに端を発し、以降自身の地位を誇示していくひとつのアイテムでもあったそう。その代わりとなるのが、誰もがもっているであろう傘。当初は婦人たちの日傘的イメージが強かったものの、ステッキのようなデザインにしたところ浸透した。雨を避け、紳士然としたたたずまいを生むものとして大いに重宝する。

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