ファッションライターが指南する、靴とパンツの黄金比

冬のスタイリングではアウターが主役を担うが、シューズとパンツもおざなりにはできない。そこで、ファッション識者の目線からウエスト下の最適な関係を探る。

菊地 亮

2016.11.01

“なんとなく”では済まされないシューズとパンツの関係

これまで、トップスとパンツの関係に多くの大人たちは悩まされてきた。それも確かに重要だが、コーディネートの自由が顕著でミックス感が着こなしのツボとなる昨今は、それだけ決まれば安心とも言っていられない。ファッションレベルを上げるには、シューズによるハズしや引き締めをうまく活用し、パンツのシルエットや丈感にこだわることも求められている。となれば、シューズとパンツの合わせ方にも相応の知識は必要だ。

押さえておくべし! これぞシューズとパンツの黄金コンビ

シューズとパンツの組み合わせは、いろいろ考えられるだけにどれを選ぶかは大いに迷うところ。その最適解、実は街ゆくファッショニスタのスタイリングの中に隠されている。センスあふれる彼らの着こなしから、シューズとパンツの有効な組み合わせを導き出したい。

パターン1コインローファー×色褪せジーンズ

ローファーはもともと、英国国王エドワード8世が室内用として履いていたタッセルひも靴をベースに作られたアメリカ靴。そのためカジュアルなパンツともウマが合う。最近のトレンドである色落ちしたジーンズには格好で、革靴で構成された端正なルックスが、漂いそうな粗野感を適度にフォローしてくれる。

カウレザーの中でも特に上質とされるカーフをアッパーに起用。ライナーもアッパーの色とリンクさせ統一感を出している。ソールは、『ビームスライツ』の別注によりグリップ力、耐水性にも優れるダイナイトソールへ変更。

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長らく『ディーゼル』のジーンズを支えてきた定番モデル、SAFADOが復活。ハンドメイドによるダメージ加工に加え、サビ感のあるヴィンテージを表現すべくゴールデンスプレー&ブラシ加工まで施したルックスは実に味わい深い。

カバーオールとジーンズはワークルックのキモ。両者を起用してもなお土臭さを感じないのは、アースカラーの採用とローファーのおかげ。トップを柔らかな色みで構成し、モックネックのインナーやローファーで品の良さをプラスした趣は、まさしく上級。

テーラードジャケットはゆったりめを選び、ジーンズは裾を切りっぱなしにしたタイトな裾丈。計算し尽くされたサイジングの妙により、脱・普通を難なく実践している。大胆なヒザのダメージなど、随所に個性的な味付けを施しているがそれをローファーがフォロー。

ハンティングベストにワークシャツ、そしてジーンズと、オーセンティックなアイテムを選んでいるものの、パッチワークのデザインにより新鮮な着こなしへ。遊び心たっぷりなアイテムを起用しているが、足元を落ち着かせたことで奇をてらったようには見えない。

パターン2白スニーカー×スラックス

スポーティなスニーカーでも、ホワイトを選べば持ち前のクリーンさにより子供っぽく見えない。大人が昨今、気軽にスニーカーを手にできている要因のひとつがこの手のタイプの台頭だ。そこへジーンズやチノパンといった選択肢も捨てがたいが、ミックス感がキモとなっている今なら、スラックスを取り入れてギャップを狙いたい。

白スニの流行を不動にしたと言っても過言ではないスタンスミスがベース。レントゲンで撮影したかのようにシュータンのアイコンとトレフォイルの配色を逆にした、『アディダスオリジナルス』との共同開発による一足。

イタリアを代表するパンツ専業ブランド。確固たる地位を築いた要因ともいえる美脚シルエットはこちらでも健在。また、厚みがあり柔らかさもひとしおのサキソニー素材を使用しているため、表情に温もりと上質感が漂う。

スラックスを取り入れた大人のストリートスタイル。スウェットシャツやフライトジャケットといったアメカジの代表格を選びながらも、全体をモノトーンでまとめたことにより特有の粗野感をいなしている。シャツやシューズに見る白差しも効果的な一手。

フィッシャーマンたちのレギュラーアウターも、インナーに白のニットを、スラックスをセレクトしたことで今風なビジュアルに変貌。センターラインからチラリとのぞくアースカラーの意匠も気が利いている。足元の白スニ同様抜きすぎないバランス感が秀逸。

スーツをカジュアルに着こなすコツは、何といっても自然な抜け感。そこで取り入れたのは、誰もが一度は袖を通したであろうボーダーのカットソー。足元は白スニを加えた。同テイストのアイテムを起用したことで、違和感なくカジュアルダウンさせている。

パターン3スケートシューズ×チノパン

90’sの復興により再びスケートボードを手にした大人は多い。ただ、昔のテンションでコーディネートを組むのはいただけない。だからこそ、今も昔も不変のスケートシューズへ合わせるパンツは、ダボッとしたジーンズやワークパンツではなく、きれいめな印象を残すベージュやネイビーのチノパンがちょうどいい。

スケーターやサーファーたちから絶大な支持を得てきた『バンズ』。オーセンティックは押しも押されもしない代表作で、1966年の発表以降、細かなアップデイトはあるものの姿を変えていないことからもその不動の人気が伝わる。

『ポールスミス』の最高級デニムラインとして知られるレッドイヤーコレクションのチノトラウザー。ポケット周りや裾に浮き出たアタリをリアルに表現し、まるではき古したような風合いに仕上げたワイドストレートタイプ。

インナーに加えたニットのバイカラーデザインや、切りっぱなしの裾で八分丈に設定したチノパンと、随所に適度なハズしを加えた点がセンスフル。往年のスケーターを思わせるパンツとシューズのコンビに反し、トップを品良く仕上げたウィット感もいい。

90年代後半の裏原ブームでもよく見られた、アメカジとストリートのミックススタイル。濃紺のジージャンの色をパンツで拾った点が技あり。セットアップ風に合わせたことで、キッズ感を巧みにいなしながらクールに合わせている。足元を支える『バンズ』の黒がその印象を後押し。

アウターはリラックス感たっぷりなパジャマジャケットで、今どきなノーカラータイプ。パンツは、ゆったりめなシルエットで裾はダブル仕上げのように見せたロールアップに。随所にのぞかせたトレンドディテールにより、着こなしに鮮度をプラスしている。

パターン4ハイカットのローテクスニーカー×ワイドパンツ

『コンバース』のオールスターに代表されるように、昔ながらのローテクスニーカーは時代を問わず大人たちの足元を支えてきた。プライスも手頃なだけに手に取りやすいのは事実だが、相変わらずの合わせは手抜きにも見られかねない。九分丈のワイドパンツでハイカットをさりげなく主張しながらブラッシュアップさせたいところだ。

言わずと知れた『コンバース』の名モデル、オールスター。1917年に生産されて以降、その姿は周囲からの信頼同様、変わることなく今も確かな存在感を放っている。また、圧倒的カラバリと優れたコスパ力も魅力のひとつ。

ノータックによりウエストをすっきりさせ、裾幅を広めにとった九分丈のワイドパンツ。うっすらとストライプ柄を入れた、滑らかで高級感のあるテキスタイルが特徴的で、アンゴラを使用したことにより保温性と軽さも手に入れた。

アウターに選んだフライトジャケットは、よく見るとキルティングステッチが施されている。インナーとの丈感に変化をつけ、さらには足元も九分丈×ハイカットで。モノトーン仕上げのスタイリングながら、各所へ施した工夫により凡庸に見えない。

オーバーシルエットのミリタリーブルゾンやパンツを選んではいるものの、野暮ったく見えないのは、適度に取り入れたホワイトと丈感の妙によるもの。白シャツにバンドカラーを選ぶことでさりげなくトレンド感を匂わせ、足元で軽快感も表現している。

ホワイトを基調に、程良い抜け感を加えたモードな仕上がり。冬アウターの定番に数えらえるライダースジャケットだが、白を選ぶことでこんなにも新鮮に。プレーンなパンツは全体的にミニマルなデザインだけに、裾へ加えたひと手間がより際立って見える。

パターン5モカシン×クライミングパンツ

つま先のモカ縫いがポイントのモカシンは、持ち前の素朴さが味わい深さを足元にもたらす。その長所を消すことなく相乗効果が期待できる一足が、ボルダリングの浸透などで注目度も増したクライミングパンツ。リラックスできるうえに、渋さも漂わせるベストパートナーとしてぜひとも覚えておくべし。

『パラブーツ』のデッキシューズモデルとして知られる「ドミング」。同じく人気の「バース」と同じ木型を使い、ソールにはマリンソールを採用。そのため、耐久性だけでなく水にぬれた路面でも滑ることなく歩ける。

『グラミチ』の定番モデルへ『アーバンリサーチ ドアーズ』が別注をかけた一品。ウェビングベルトや股下のガゼットといった往年の意匠はそのままに、分量を軽くしながらドレスウェアのような美しいシルエットで仕上げている。

全体をスタイリッシュに仕上げたことで、ワーク風味な着こなしがよりモダンに。ジージャンは濃厚な一着を、クライミングパンツはチノパンを思わせるベージュを、そして足元はシックなネイビーの革靴を選択したことで、洗練された雰囲気に拍車をかけている。

山と街を行き来できそうな外スタイルの好サンプル。『パタゴニア』のフリースベストは、温もりとともにモコモコの素材感がアクセントとして有効。“山パン”に、オーセンティックな足元が見事にマッチしている。全体をアースカラーでまとめたのも好印象。

山テイストを盛り込んだコーディネートながら、野暮ったく見せない着こなしがグッド。撥水性もあるシャツジャケットをラフにはおり、さらにパンツはクライミングパンツながらも細身なためスマートに見える。足元は茶レザーのモカシンで大人っぽさを高めた。

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