身近過ぎて意外と知らないピーコートのあれこれ
英国海軍が採用したことから、ミリタリーアウターとしてのイメージがあるピーコートだが、もともとは港の漁師や船乗りたちの防寒具。ゆえに、今ではアイコンとして語られることの多い錨ボタンも軍の採用によってあつらえたモノだったりする。
大きな襟は、甲板で波音にかき消されることなく上官からの指示聞くために生まれたディテール。
また、艦橋や甲板などの厳しい気象条件で使用することから、風向により左右どちらが前にきてもいい仕様で作られている。
ビジネスでも使用できるピーコートとは
冬にもなればビジネスシーンでも防寒着は必需品だが、何でもいいというわけにはいかない。相応のマナーの範疇で選ぶことが必要なため、アイテム選びには必然的に規制がかかる。となれば、メンズカジュアルでトレンドのピーコートは難色を示さざるを得ない。
しかし、次の3つのポイントのいずれかを満たすことで、無理なく簡単に取り入れることが可能だ。
ポイント1:オリジンのショート丈よりもコートらしい、“ロング丈”を検討せよ
動きやすさも重要な要素だったアウターだけに、当然丈は短め。そのスタンダードをあえて逸脱することでご覧のようにシックなビジュアルを手にすることができる。
ミドル丈のイメージが強いだけに一見ミリタリーアウターには見えず、しかもチェスターコートのようなエレガントさも出せる、大人に味方する軍アウターの好例だ。
『ショット』の714ロングメルトンPコート
ピーコートは、レザージャケットと比肩するほどにショットを代表する有名なアイテム。その確かな歴史と実力を背景に、ロング丈という新境地を示したのがこちらのアイテム。ベースとしたのは、第二次世界大戦時にアメリカ軍の提督が身に着けていた膝丈のウールコート。非常に重厚なメルトンウールは着応えも十分だ。
『カラッロ』のロングPコート
こちらを手掛けたのは、有名メゾンブランドのアイテムも数多く手掛けるイタリアの実力派ファクトリー。高級感のある上質な素材、巧妙な着丈に現代的なシルエットからは、その実力の一端が垣間見える。もともと、スーツの上から着用することを前提に製作されているため、ジャケットの上からはおってもモタつかず動きやすい。
『エストネーション』のメルトンロングPコート
最近では耐久性も踏まえ、ナイロン混のメルトン地ピーコートを目にする機会も増えてきた。しかしこちらは、上質なウールを使用しているだけにタッチは極上で、見た目にも上品な仕上がりに。ピーコートとポロコートの中間のような佇まいはドレスシーンでも難なくハマり、裏地にキルティングの中綿を加えているため保温性も抜群。
ポイント2:パッと全体を明るくする、“ベージュ”という選択肢
ピーコートのカラーといえば、ネイビーが基本。また、ビジネスシーンを考えるなら、ダークカラーで汎用性の高いブラックやグレーも候補になるだろう。
ただ、スーツではネイビーやグレーが定番だけに、やや重ために映るかもしれない。そこで、ベージュという選択肢を追加したい。ベージュの魅力は、明るさや上品さを全体にプラスできること。スーツスタイルにも実に馴染みやすいのだ。
『シーラップ』のピーコート
1935年にイタリアで産声をあげ、上質なアイテムを生みだすコート専業の老舗ブランド。なかでも歴史ある海の街、ジェノバというモデル名を冠したこちらは、スーツからカジュアルまでをフォローする懐の広さが魅力的。軽いながらもハリのある生地感に仕立てているため豊かな表情が楽しめる。
ポイント3:ほかのテイストを盛り込んだ、新たなピーコート
ほかのテイストをプラスすることで新たな表情を作り出す。そんなピーコートならビジネスの場でもしっかり胸を張れるはずだ。
例えば写真のように、中央の6ボタンやハンドウォーマーポケットはそのままに、カーコートのようなミドル丈にした一着。スポーティなイメージが違和感なく、着こなしを若々しく見せてくれる。
『タトラス』のカヴァーイオネ
こちらの素材は圧縮と縮充しながら生地を詰め、毛羽を出すミルド加工で仕上げたウールナイロンジャージー。軽快で伸縮性に富むストレスフリーな着心地を実現しながら、そのルックスはメルトンのように上品だ。男らしさを感じさせるシルエットも注目すべき点。
合わせて読みたい: ピーコートのすすめ。大人が参考にしたい着こなし方
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