大人ジーンズの定番。アーペーセーの魅力と定番モデル

大人ジーンズの定番。アーペーセーの魅力と定番モデル

専門ブランドではないにもかかわらず、ジーンズの定番として必ず挙げられるようになった『アーペーセー』。その魅力と人気モデルを詳しくわかりやすく解説します。

平 格彦

2018.09.02

アー・ペー・セー(A.P.C.)
ボトムス
ジーンズ
定番・名作

『アーペーセー(A.P.C.)』というブランド名に込められた想い

フランスの人気ブランド『アーペーセー(A.P.C.)』は、デザイナーのジャン・トゥイトゥ氏が1987年に立ち上げたブランド。ブランド名は、“生産と創造の工房 (Atelier de Production et de Creation)”の頭文字を取った略語で、「デザイナーの名前を服のデザインに結びつけたくない」という想いが込められています。

そんなコンセプトはデザインにも投影されていて、シンプルで“脱・個性的”という点が同ブランド最大の特徴であり魅力。フレンチベーシックに機能性を融合しつつ、ストリートや反骨心といった要素も感じさせるデザインですが、全体としてはいたってシンプルです。

『アーペーセー』のジーンズが万人に受け入れられる3つの理由

着る人を選ばず、着る人の個性を最大限に引き出すデザインが、ファッショニスタだけでなく多く人の心を捉えています。とはいえ、支持者が後を絶たない理由はどこにあるのでしょうか?

理由1ベーシックかつ洗練された中性的なシルエット

時代の流れを的確に捉え、デザインに落とし込んでいるのが『アーペーセー』のプロダクトに共通する魅力。ジーンズにおいても、モダンで美しいシルエットが長所となっています。定番モデルが放つ研ぎ澄まされたシルエットは男性だけでなく女性にもマッチし、どこか中性的でありユニセックス。幅広いサイズ展開のため、メンズにもレディースにも対応しています。

理由2厳選に厳選を重ねた良質なデニム生地

天然素材を中心としたマテリアルを徹底追求しているのも『アーペーセー』の特徴。ジーンズは基本的に日本製のデニム生地を採用しています。アイテムや時期によって生産国やボタンの仕様などは変わっていますが、生地は原則“MADE IN JAPAN”。熟練職人ならではの技法をベースにしたインディゴ染めのコットンで織られたデニム生地は、当然ながらハイクオリティ。タテ糸にマザーコットンと呼ばれる高級綿糸を採用するなど、細部に及ぶこだわりにより、美しい色落ちも実現しています。

理由3徹底してミニマルに徹する一貫した世界観

ジーンズに限ったことではありませんが、『アーペーセー』のコレクションはシンプルなデザインがベース。ジーンズに関してはむだな装飾を一切排除し、ミニマルに仕上げているのが大きな特徴です。象徴的なのはヒップ周りで、名門ブランドのジーンズには必ず施されているバックポケットのステッチを省略。また、ブランドのタグやパッチなども省いています。その一方、オレンジのステッチなどがジーンズならではの表情を演出。そのバランスが秀逸です。

『A.P.C』 を代表する、3大定番モデル

定番モデルのシルエットは、スリムにして普遍的。『アーペーセー』のジーンズはミニマルだからこそ、洗練されたシルエットが際立っています。人気の高い定番モデルの魅力と着こなし例を、ニュースタンダード、プチスタンダード、プチニュースタンダードの順に解説します。

モデル1微テーパードが美脚を生む、ストレートシルエットのニュースタンダード

1989年に誕生し、『アーペーセー』のジーンズ人気を押し上げたクラシックなモデル。定番3モデルの中では最もシルエットに余裕があり、裾に向かって緩やかなテーパードを効かせることで見た目の印象がストレートレッグになるように工夫しています。イメージソースは今世紀の初めにアメリカ開拓者の間で愛用されていたジーンズ。肉厚な14.8オンスのデニム生地は、ねじれにくく縫い目の強度も増す赤耳を採用しています。

ニュースタンダードはストレートに見えるシルエットが特徴的。クラシックなアメカジテイストのムードを宿していますので、野暮ったいイメージにならないように着こなすのがセンス良く見せるポイント。ダークなノンウォッシュのジーンズを選びつつ、ほかのアイテムをブラックで統一することでクールかつ落ち着きのあるスタイリングにまとめています。裾をさりげなく折り返すことで、足元に抜け感もプラス。

ニュースタンダードのアメカジ感を生かしながら、大人っぽいコーディネートに仕上げた好サンプル。ストレートジーンズにスウェットパーカーやスニーカーを合わせた着こなしは、アメカジの定番です。ただし、上の着こなしと同じようにジーンズ以外のアイテムを黒で統一して落ち着きを与えています。そのうえであまりにもフラットな表情にならないように、ジーンズの色落ち具合と裾のワイドなロールアップでカジュアルな表情を強調。こなれたムードの演出に成功しています。

モデル2スリム過ぎない、スリムシルエット、プチスタンダード

最初に紹介したニュースタンダードをベースにしつつも、スリムに仕上げたストレートジーンズがプチスタンダード。ヒップ周りやレッグラインを細く仕上げているのはもちろん、股上も浅めに設定することでコンパクトなシルエットにまとまっています。ロックスタイルで使われるようなスキニー系ではなく、細すぎない独自のタイトジーンズという提案が絶妙で、新しい定番となりました。

プチスタンダードの細身なシルエットを生かしたデニム・オン・デニムな着こなしのお手本。上下がデニムだと野暮ったいイメージになりがちですが、パンツもシャツもタイトシルエットにすることで、スタイリッシュに着こなしています。さらに、ワークテイストの男臭さを緩和するために、インナーとスニーカーで白を差して爽快に。ジーンズの裾を太めにロールアップしたり、シャツの袖をまくったりすることで、こなれたムードも加味しています。

定番モデルで最も細いジーンズとなるプチスタンダード。だからこそ、トップスはルーズなアイテムを選んで今どきのリラックス感を演出するのもおすすめです。シルエットによる上下のコントラストがお互いの特徴を強調。細身のジーンズは収縮色となる寒色のダークトーン、緩めのニットは膨張色となる暖色のライトトーンを選ぶことで特徴をさらに際立たせています。各アイテムはシンプルなので、落ち着きのある大人なカジュアルスタイルという印象。

モデル3定番2モデルの長所を凝縮、プチニュースタンダード

前出の2モデル、ニュースタンドとプリスタンダードの特徴をMIXしたシルエットが最も今日的なプチニュースタンダード。股上は深めでニュースタンドに近く、膝から裾にかけてのテーパードは強くしてプチスタンダードのような細い印象のレッグラインを実現しています。つまり、両モデルの長所をブレンドしてバランスを整えたモデルがプチニュースタンドというわけです。

シルエットが美しい『アーペーセー』のジーンズは、色落ちしててもラフな印象になり過ぎることがありません。とくにプチニュースタンダードはシルエットのバランスがモダンなので、何気なくはくだけでスタイリッシュ。ボーダーカットソーやスニーカーを合わせたシンプルな着こなしでも、どこかあか抜けた印象に決まります。春先はロング丈の薄手なコートなどを羽織るのがイチ推し。タテのラインが生まれて全身がスリムに映り、ジーンズの美脚効果も向上します。

定番の3モデルは加工や生地が異なるタイプも展開。ストレッチ生地を使用したタイプを選べば、タイトなサイズ感でも動きやすいはき心地です。とくにプチニュースタンダードはレッグラインがタイトでも腰周りに適度な余裕があるため、好みによってフィット感の強いサイズを選んでもOK。そんなサイズ感を選んだ際は、フェミニンな印象にならないようにライダースジャケットやブーツなどで男っぽさを加味するのがおすすめです。

手軽に、リアルなユーズドジーンズを楽しめる「バトラープログラム」

実は、はき込んだ『アーペーセー』のジーンズは下取りに出すことができます。それを実現しているのが、“何も生み出されることも、破壊されることもなく、ただ形が変えられるのみ。” という哲学をコンセプトに生かした独自の「バトラープログラム」です。

その概要は、はき古した『アーペーセー』のジーンズをショップに持ち込めば、新しいロージーンズを半額で購入できるというものです。ただし、中古ならどんなジーンズでも良いというわけではありません。今回紹介した定番の3モデルであり、ノンウォッシュインディゴジーンズであるというのが条件。さらに、美しくインディゴが残りつつ、適度に色落ちしてヒゲやアタリがはっきり出ているのが適した状態です。さらに、大きな穴がなく、サイズ感も一般的なほうが好ましいようです。アイテムやショップごとの個別判断というところも少なくないようですので、興味がある人は実際に持ち込んでみてください。

引き取られたジーンズはワークショップで洗濯され、修正されたうえで、最初の所有者のイニシャルが内側に記されます。そして、“バトラージーンズ” として再び店頭に並びます。反対の視点から見れば、ユーズド加工のジーンズが欲しいという人は、バトラージーンズを狙うのも賢い手段。こまめにチェックすれば、幸運な出会いに恵まれるかもしれません。

※詳細や対象ショップは 公式サイト の「A.P.C. BUTLER」という項目をご参照ください。

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