夏スーツに必要なのは“けじめ”と“遊び”だ

夏スーツに必要なのは“けじめ”と“遊び”だ

ビジネスマンにとって気力や体力を奪う暑さは大敵。だからこそ暑さ対策は必須だが、ヌキ所を誤れば勝負どころで下手をうつ。その救いの手はジャケパンにある。

菊地 亮

2015.07.05

アウター
スーツ
夏の着こなし・コーデ

“軽やかクリーン”で夏のビジネスシーンをフォローする

堅苦しくなく、暑苦しくない。夏のビジネススタイルには、そんなスタイルが好まれる。かといって、リラックスし過ぎるのも先方には失礼にあたる。そこで重視すべきは軽やかでクリーンなコーディネート。お決まりのセットアップスーツもいいが、それらを意識したジャケパンなら面目を保ちながら洒脱さもアピールできる。

JACKET名門が作る“脱力”ジャケットなら胸を張って袖を通せる

スーツの“いろは”を心得ていて流行も熟知した実力派は、押さえるところは押さえ、抜くところは抜くそのさじ加減が実に上手。時に素材で柔軟さと涼感を取り込み、時にデザインでカジュアルな要素をプラスする。歴史と伝統をベースに革新的アプローチを続ける彼らのアイテムなら、仕事の場においても頼もしさを覚えるはず。

Item1『ボリオリ』

『ボリオリ』は100年以上続く、イタリアのサルトリア(仕立て屋)の名門。その地位を強固なものにし、ジャケパンの概念を決定づけた1着と言えばこのドーバー。伝統的なジャケットがベースとはいえ、上質なヴァージンウールを使っているため着心地は軽やかで、製品染めしたことによりグッとこなれて見える。

Item2『ラルディーニ』

新鮮な素材使い方やテクニカルな加工で多くのバイヤーを虜にしてきた『ラルディーニ』。クリエイティブディレクターにウンベルト・カンタレッリ氏を招いた2010年春夏以降からそれはより顕著に表れ、例えば、こちらの織り柄を加えた高級リネンシャツに製品洗いを加え独特なアタリを生み出した1着を見れば一目瞭然。

Item3『タリアトーレ』

今もっともと注目を浴びる南イタリアの雄。1998年に創業し、イタリア語で裁断士を意味するブランド名からも分かるように、シルエットの美しさは多くの業界人もよく知るところだ。このリネンシャツも、両脇から裾のラインや絞ったウエストに見る立体的フォルムが素晴らしく、華奢な我々にも威厳をもたらしてくれる。

SLACKSジャケットに合わせて選びたい“シメ”パンか“ヌキ”パン

通常のスーツであればさして問題ではないが、ことジャケパンとなればトップとのバランスは重要だ。堅実なネイビーなら、軽さを意識させられるライトグレーやベージュを選びたい。逆にデザインを取り入れたものであれば、引き締めを意識した紺スラか、深みのあるシックなグレーを。その二者択一が、洒脱を生む決め手になる。

Item1『インコテックス』

1951年にパンツ専業メーカーとして操業を開始して以降、持ち前の卓越した裁断縫製技術と上質な素材使いにより瞬く間に多くの信頼を獲得。それは、こちらの一本からも分かる。モダンな印象を生むシャープなシルエットは基本だが、腰回りに取り入れた絶妙なゆとりが自然な履き心地を誘発。一度はいたらヤミつきは間違いない。

Item2『ベルウィッチ』

多くのブランドが生産拠点を海外へと移すなか、頑なにイタリアメイドにこだわる骨太なブランド。こちらは、うっとりするほどのドレス顔にも関わらずカジュアルな雰囲気もチラリ。素材にサマーウールを採用し、やさしいタッチやリラックスしたはき心地を表現した点に、ビッグメゾンを扱ってきた本ブランドの実力がのぞく。

Item3『ヴィガノ』

1900年代初頭、サルトリアヴィガノの名で歩みを始めたこちら。当時から仕立ての技術は評判で、充実した設備を駆使しすべてをテーラーメイドで仕上げていた。そのアイデンティティはこの一本にもしっかり落とし込まれている。美脚をうながすシルエット、鮮やかなカラーリングなど、これを履くだけで気品がスタイルに加わる。

SHIRTSシャツの自由度を高めるネイビー&グレー基調のジャケパン

ネイビーとグレーには、相手からの信頼を得るための真摯な趣や大人っぽさがある。が、利点はそれだけではない。ベーシックカラーを選ぶことによりVゾーンにも“遊び”を表現する自由が生まれるのだ。白シャツでも問題はないが、先方へのアピールを強めるなら、洗練さに満ちた名ブランドのデザインシャツが好ましい。

Item1『バルバ』のストライプシャツ

『バルバ』のストライプシャツ

M&MM&M

多彩な色のテキスタイルや柔らかな着用感こそバルバシャツの真骨頂。1964年にナポリのカミチェリア(シャツの仕立屋)として始まり、品質は世界最高水準とも。こちらの一着もまた、身につければその偉大さがより伝わるはず。ロンドンストライプをベースに、スラブ調の織りをいれることでより爽やかさが増した印象だ。

Item2『オリアン』のギンガムチェックシャツ

『オリアン』のシャツは、イタリアの伝統的な縫製技術を、最先端の機器を使って表現されている。ワイドスプレッドの襟型はソフトでエレガントな曲線を描き、ノーネクタイでも胸元に品格を与える。ギンガムチェック柄ゆえカジュアルさが先行しがちだが、ドレスシャツ仕立てでスリムフィットなため美しがより際立って見える。

Item3『ルトロア』のポロシャツ

見た目がこれだけきれいであれば、ジャケットのインナーにポロシャツ、という選択肢も大いにありうる。フランスのシャンパーニュ地方で産声を上げた『ルトロア』の1着は、まさしくその典型。ジャケットの内側に着こんでもゴワつかないスリムなシルエットながら、ストレスを取り除く伸縮性とソフトな触感が実に優秀だ。

SHOESジャケパン靴には凛々しさと余裕が介在した1足がいい

語弊を承知で言うならば、ジャケパンを巧みに着こなす大人は総じて快活だ。ビジネスチャンスを逃さないフットワークの軽さがあり、それでいて相手からも一目置かれるスマートさを備える。そんな彼らの足元は、革靴特有の気品を備え、ソールやデザインで軽快感やリラックス感をプラスしたビジカジ靴がレギュラーとなる。

Item1ゴツめで歩きやすい革靴がビジネスシーンでも重宝する

アスファルトで敷き詰められた都会の街並みを、革底の1足で歩くとなれば疲労感もひとしお。その一難を彼らは熟知している。だからこそ、表向きは真摯な革靴ではあるものの、ソールはというと歩行時のストレスを払拭する厳ついもの。履き心地、歩きやすさに定評のある『パラブーツ』のシャンボートはその代表と言っていい。

Item2飾り穴が施されたクラシックシューズでさり気ないヌケ感も

ビジネスシーンにおいても、原点回帰の機運は顕著だ。だからこそ、往年のルックスを備えたアイテムには誰もが触手を伸ばす。その好例がウイングチップのシューズで、飾り穴を施したデザイン性に富む1足は、威厳を保ちながら洒脱な一面も見せられる。そんな1足を受け止められるのも、ジャケパンのなせる技と言えるだろう。

COORDINATE正統派から個性派まで、我々が理想とするジャケパンを好サンプル

日本でよく目にするビジネスマンはまるでモノクロームだ。定番の色やアイテムを着こみ、“こなし”も“フツウ”の域を出ない。ただ、そこへ一石を投じるのがジャケパンスタイルである。それを手懐けることで、我々は個性を手にすることができるのだ。ここでは、その初歩に加え、上級者向けの着こなしを合わせて紹介する

Style1カラーで誠実と落ち着きを表せばすんなりビジネスシーンになじんでくれる

先述の通り、スーツにおいてネイビーとグレーは正統。定番色の安定感ゆえに、相手からの信頼も得られやすいが、ジャケパンならさらに軽やかさが加わる。しかもトレンドのウィンドペンチェックをあしらったジャケットや、ノータイの着こなしも許容範囲。色でけじめをつけ、着こなしで遊ぶ。そんな大人がより魅力的なのだ。

Style2着こなしのポイントを抑えれば仕事の場でもジャケパンは活躍する

ジャケパンを、カジュアル色が強いと嫌がる人もいるだろうが、要点を抑えればオン・オフ双方のシーンで活用するのは簡単。それが例え、柄ジャケにイージーパンツの旬のスタイリングでも同様だ。引き締めを狙いながら上下のバランスを整え、Vゾーンや足元で“しっかり”を強調する。それだけでも見栄えは変わってくる。

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