腕時計の技術革新を担う、シチズンの実力と人気モデルをおさらい

腕時計の技術革新を担う、シチズンの実力と人気モデルをおさらい

2018年、「シチズン」は創業100周年を迎えた。GPSなどの先進技術を生み出す一方、近年は海外ブランドの買収や機械式の生産にも力を入れて多角的かつ精力的な活動が続く。

ワダ ソウシ

2018.12.09

シチズン(CITIZEN)
腕時計

日本を代表する一大メーカー「シチズン」

「シチズン」の歴史を紐解くと、“世界初”に果敢に挑戦する開発を行ってきたことが良くわかる。1976年にアナログ式太陽電池ウォッチ「クリストロン ソーラーセル」を、1993年に多極受信型・アナログ多針式タイプ電波時計をリリース。そして2003年には、現代のベンチマーク的存在と言えるアンテナ内蔵型フルメタルケースの電波時計を完成させ、記録的にヒットさせた。これらはどれも他社に先駆けた、“世界初”の偉業なのである。

定期的な電池交換を必要としない光発電技術「エコ・ドライブ」のほか、ステンレスの5倍以上の硬度ながら軽さは約1/2という「スーパーチタニウム」など、シチズン独自の技術は多くのビジネスマンからも支持されている。これらを採用する代表作が『アテッサ』や『ザ・シチズン』だ。また、カジュアルウォッチに『インディペンデント』、『Q&Q』、その他各種ライセンスモデルを揃えており、ラインアップの幅は業界トップクラスと言える。

「シチズン」の特徴の1つとして挙がるのが、スマートなデザインだろう。機能を優先した“引き算の美”から生まれた意匠は、日本古来のわび・さびやミニマリズムに通じる美学がある。間違いなく「シチズン」の技術を持ってすれば、他社製のような“全機能搭載”と謳えるモデルも製作可能だが、あえて無駄を削ぎ落とすことで腕時計としての機能を際立たせ、外観の美しさと優れた実用性を両立させている。

また、世界市場で競うためにグローバルプランを掲げた「シチズン」は積極的に海外ブランドとの協力関係を深めてきた。2008年にアメリカの老舗『ブローバ』を、2012年には高級志向の『アーノルド&サン』と『アンジェラス』、そして一流ムーブメントメーカーの「ラ・ジュー・ペレ」が属するスイスのプロサーホールディングを買収。そして2016年、『フレデリック・コンスタント』のグループを傘下に収めたことで、同社に加えて『アルピナ』もシチズンの下に加わり、一大勢力へと成長している。

合わせて読みたい:
手の届く機械式時計。フレデリック・コンスタントで差を付ける

アメリカ腕時計業界が生んだ実力派。ブローバの魅力を読み解く

100年の歴史の上に。「シチズン」の歩みを知る

数々の革新的なテクノロジーを発明してきた「シチズン」だが、その基本にあるのは精度への追求である。1973年に月差±10秒(1ヶ月間の進み・遅れの度合いが±10秒を意味)という当時では驚異的な高精度のクォーツウォッチを生み、わずか2年後には世界初の年差±3秒の「クリストロン メガ」を完成させたのだ。そして同社創業100周年を記念するべく、2018年に年差±1.0秒という「Cal.0100」を発表した。この懐中時計は市販化されていないが、高度な技術は今後のモデル開発にフィードバックされることだろう。

「シチズン」と言えば。3つの代表的なテクノロジー

傷を寄せつけない美しい外装から、光によって発電する止まることのない駆動源、そして電波を超える精度と時刻修正を可能にするGPSなど、究極の実用性をもたらすスペックこそが「シチズン」が愛される理由でもある。

技術1素材における革新、“スーパーチタニウム”

チタニウムが持つ軽量さや優れた耐食性、金属アレルギーを引き起こしにくい特性をそのままに、表面の硬度を高めるデュラテクト加工を施すことでハードな使用でも傷が付かないスーパーチタニウムを完成させた。優秀なこのチタン素材と「シチズン」の歴史は約半世紀前までさかのぼる。研削・研磨の技術的難易度が高いチタンだが、1970年に世界初の純チタン製腕時計を開発し、その後『アテッサ』で量産化に成功。表面をプラズマなどのイオンを吸着させる高硬度加工も研究し始め、化学的に変化させるデュラテクトを確立する。現在ではより強固でフルブラックに仕上がる、デュラテクト DLCなども発明している。

技術2ただのソーラーにあらず、“エコ・ドライブ”

1976年、「シチズン」は世界初のアナログ式光発電時計を誕生させるなど、ソーラーセルで駆動する技術を発展させてきた。この機能を現在はエコ・ドライブと名付けてシンボル的なスペックに据えており、太陽光はもちろんわずかな光でも駆動可能な点が高く評価されている。例えば部屋の蛍光灯やデスクライトなど、生活空間に存在する光で発電できるのだ。さらにフル充電の状態ならば暗闇の中でも半年以上動き続け、なかにはパワーセーブ機能や7年間駆動する機能を有するモデルも存在。ソーラーウォッチのカテゴリーにおいて、他社に対して圧倒的なアドバンテージを持っている。

技術31度慣れると手放せない。“サテライト ウエーブ GPS”

これまでは原子時計をもとに送信される標準電波機能を主流としてきたが、正確性でこれを上回るものとして最新の上位機種はサテライト ウエーブ GPSを搭載している。地上から約2万km、宇宙空間を周回する人工衛星から時刻情報をキャッチし、地球上のどこにいても正確な時刻やカレンダーへと自動修正を行う。全世界のタイムゾーンのうち40の時間帯をカバーしており、さらに光発電での駆動を実現している。そのため世界各国を駆け巡るビジネスマンや旅行者は、サテライト ウエーブ GPSモデルさえあれば現地で時間に迷うことはない。

ハイエンドから実用機まで。「シチズン」を代表する10のブランド

「シチズン」はコンセプトの異なるブランドをいくつかラインアップしている。それらに、紹介した3つのテクノロジーのほか、電波機能やダイレクトフライトなどの多様な高機能をスマートに組み込んでいるのだ。定番を中心に10作からその魅力を解説しよう。

ブランド1アテッサ

スポーティかつエレガントな『アテッサ』の最新作は、デュラテクトMRKとデュラテクトDLCを重ねることで、オールブラックに仕上げたブラックチタンシリーズのフラッグシップモデルだ。光発電エコ・ドライブ、衛星電波受信・位置情報取得・自動時刻受信の機能などを備えるキャリバーF950を搭載しながら、直径44mm、厚さ15.1mmのサイズに抑えた。すっきりしたブラックダイヤルに、オレンジの秒針が挿し色として効いている。

合わせて読みたい: 日本が生んだ、実用腕時計の極地。アテッサを知る

ブランド2エコ・ドライブ ワン

2016年に発表した『エコ・ドライブ ワン』の2017年バージョンは、オーソドックスな形状のラグへと変更したラウンドモデル。85個ものパーツから構成されるムーブメントはわずか1mmの超薄型で、ケースは2.98mm厚(設計値)という衝撃的なスリム化を実現した。文字盤にサファイアガラスを、ベゼルに耐摩耗性の高いサーメットを、ケースにデュラテクトDLCで加工したステンレスを採用。月差±15秒の高精度を誇る。光発電エコ・ドライブ。

ブランド3ザ・シチズン

流行に左右されないスタンダードなデザインが魅力の『ザ・シチズン』。2018年はダイヤルに土佐和紙を使い、光の加減によって見え方が異なるアーティスティックなバリエーションが加わった。直径38.4mm、厚さ12.5mmの実用的なサイズのスーパーチタニウムケースは、わずか88gという軽さ。衝撃検知や針自動補正を備える年差±5秒のキャリバーA060は、光発電エコ・ドライブで駆動する。耐傷性の高いデュアル球面サファイアガラスを採用。

ブランド4カンパノラ

独立性の高いラインとして位置付けられる『カンパノラ』は、独自の美意識を持つことでも知られている。「メカニカルコレクション 琉雅(りゅうが)」は、文字盤に漆を何層も塗り、薄く小さな貝片を一片一片貼りつけるなど、職人が細部まで仕上げる螺鈿(らでん)細工を用いた逸品。まさに銀河のような美しい輝きを放つ。スイスのラ・ジュー・ペレ社製自動巻きムーブメントを搭載。直径42mm、厚さ14mmのステンレスケース。シースルーバック。

ブランド5サテライト ウエーブ

2011年にリリースした世界初の光発電衛星電波時計を発展させた、世界限定1500本の2018年モデル。GPS衛星電波を受信して時刻とカレンダーの修正を行う先進機能はそのままに、時分針の動きを従来に比べて2倍高速化することを実現した。メインとサブのダイヤルで表示するホームタイムとローカルタイムを1ステップで入れ替え可能。デュラテクトDLCを施したスーパーチタニウムケースは、直径48.5mm、厚さ18.3mm。ウレタンバンド。

ブランド6プロマスター

陸・海・空に分類し、各ステージに最適化したスポーツウォッチを展開する『プロマスター』。こちらはそのなかでもハイエンドモデルとして位置する2017年発表の1本。世界で初めて、光発電エコ・ドライブの1000m飽和潜水用防水を実現したプロフェッショナルダイバーズで、硬度を上げるデュラテクト技術を3種類も使ったスーパーチタニウムケースを採用している。直径52.5mmのケース側面にヘリウムガス排出バルブを搭載。ロック機構付きの逆回転防止ベゼル。

合わせて読みたい: 男心に刺さるプロマスター。ハイスペックウォッチの魅力を読み解く

ブランド7エクシード

確かな品質と洗練された意匠を特徴とする『エクシード』は、同デザインのレディース用もラインアップしているモデルが多く、ブルーのローマ数字と時分針がスタイリッシュなRef.CB1110-61Aもペアで揃えることができる。簡単なリューズ操作で、世界26都市の時間帯に切り替えられるダイレクトフライトを搭載する。直径38mm、厚さ8.5mmのスーパーチタニウムケースに、プラチナ加工で美しさと硬度を高めるデュラテクトPTICを採用。

ブランド8インディペンデント

ファッションウォッチが主力の『インディペンデント』は、自由な発想から生み出される独創的なテイスト・デザインを提案し続けている。フォーマルでもカジュアルでも使えるタイムレスラインに加わったクロノグラフは、ベゼルにタキメーター表示を備えたスポーティな1本。ステンレス外装の美しい仕上げから、10気圧防水やクロノグラフ機能など、コストパフォーマンスの高さも特徴である。同ブランドオリジナルの角型リューズを装備。

ブランド9クラブ ラ・メール

機械式ムーブメントを採用したビギナー向けの『クラブ ラ・メール』は、2016年に約20年振りに復活を果たした注目ブランド。そのデザインは地中海のライフスタイルにインスパイアされており、全型共通でブルーを取り入れている。海の日を記念して限定500本製作されたネイビーブルーモデルは、丸みを帯びた38mmステンレスケースに、1976年に開発された信頼性の高い「82系ムーブ」の最新仕様であるキャリバー8229を搭載。シースルーバック。自動巻き。

ブランド10Q&Q スマイルソーラー

「シチズン」が培ってきたソーラー充電のテクノロジーを用いた、手軽な腕時計として開発された『Q&Q スマイルソーラー』。多彩なバリエーションが魅力の1つで、「Matching style Series」は40mmのラージ、36mmのミディアム、32mmのスモールの3サイズを展開しており、ペアはもちろん家族や友だちとみんなで揃えることを提案している。リサイクルPETを使ったエコ・フレンドリーな人工皮革バンドをセット。10気圧防水。ABS樹脂ケース。

合わせて読みたい: コスパ良し。Q&Qの腕時計が大人の休日にハマる理由

    KEYWORD関連キーワード
    RECOMMENDEDあなたにおすすめの記事
    3万円で買える大人シック。腕時計もレトロ顔が良い

    3万円で買える大人シック。腕時計もレトロ顔が良い

    ネイビー、小ぶり、シンプル……、ウェア同様に腕時計も新トレンドが続々登場しています。今熱いジャンルの1つが、“レトロ顔”。人気の秘密と買いの6本をお届けします。

    夏目 文寛

    1967年当時の高精度モデルが、現代の最先端技術で蘇る

    1967年当時の高精度モデルが、現代の最先端技術で蘇る

    復刻ブームが依然として止まないファッション業界。80年代、90年代のスニーカーが次々と掘り起こされては世に送り出され、“旧ロゴ”と銘打たれたロゴを載せたTシャツや…

    編集ムタガミ

    ソーラー電波時計9選。日本が誇る3ブランドからレコメンド

    ソーラー電波時計9選。日本が誇る3ブランドからレコメンド

    忙しいビジネスマンにとって、常に正確な時間を教えてくれるソーラー電波時計は心強い味方です。世界的にも品質の高い日本の3大腕時計ブランドから、名品を厳選しました。

    Freeamericanidol編集部

    それいいね! おしゃれと思われる腕時計20選

    それいいね! おしゃれと思われる腕時計20選

    おしゃれは、自己満足で終わることなく、他人に認められてこそ。“しゃれ者”として認められるには、大いに目立ち、「いいね」と言ってもらえる腕時計こそが必要なのです。

    黒野 一刻

    グランドセイコー20傑。男が持つべき名作を厳選

    グランドセイコー20傑。男が持つべき名作を厳選

    国産時計の雄『セイコー』が1960年に生み出したハイエンドコレクションが『グランドセイコー』です。スイス時計を超越する高精度のジャパンブランドに迫ります。

    黒野 一刻

    本場にも負けない。日本発の腕時計ブランド10選

    本場にも負けない。日本発の腕時計ブランド10選

    腕時計の本場といえば、スイス。それは否定できない事実です。しかし、実用性では日本が世界一。その理由と、日本が誇る腕時計ブランドを語り尽くします。

    黒野 一刻

    BACK