アメリカ腕時計業界が生んだ実力派。ブローバの魅力を読み解く

アメリカ腕時計業界が生んだ実力派。ブローバの魅力を読み解く

革新的技術により時計史に残る“初”を生み出し、140年以上もの歴史を誇るアメリカ発の『ブローバ』。世界的となった3つの代表モデルを軸に、その実力をご覧いただこう。

小林 大甫

2018.05.29

腕時計

革新的技術の宝庫。『ブローバ』とは

1875年、ジョセフ・ブローバ氏によりニューヨークに開いた小さな宝飾店から始まった『ブローバ』。1909年に雑用係として雇い入れたジョン・バラード氏の提案により、1911年より本格的に時計製造を開始した。19世紀における時計生産大国であったアメリカでは当時懐中時計が優位であったが、商才に秀で先見の明を持つバラード氏の采配により、『ブローバ』は腕時計に力を入れることとなる。

1912年にはスイス・ビエンヌに工場を構え、その後航行用クロックや高度計測器をはじめとする航空計器を開発するなど飛躍的な技術革新を遂げていく。その技術は時計業界において数々の“初”を生み出し、世界的なブランドとして地位を確立していった。また、価格レンジの拡大や機械式時計のラインアップ拡大を目的とした『シチズン』が海外メーカー買収の皮切りとして『ブローバ』を2008年に買収。2010年には日本法人もでき、我々にとってもより身近に感じられる存在へと変わっていった。

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常識にとらわれない発想と開発力

『ブローバ』最大の魅力は、何といってもその技術開発力。腕時計業界におけるはじめの一歩を生み出すテクノロジーは、世界的に見ても優れている。機械式腕時計が主流だった1960年に“音叉”を使用した高精度のムーブメントを作り上げたことに始まり、その高精度技術を生かした1本を月への宇宙飛行にも採用。2000年に入ると機械式のようにスムーズに針が動く“スイープ運針”をクォーツ式に搭載したり、最近では自然と腕になじむ形状を求めてクロノグラフムーブメントを屈曲させたりと、その改革はとどまることを知らない。

3本の名機に見る、『ブローバ』の技術革新

前述にも出てきた世界初の音叉時計、月への渡航に採用された「ムーンウォッチ」、そして最新技術である「カーブ」。『ブローバ』のテクノロジーを語るならば、世界的にも有名なこの3つの名機を知らないことにはまず始まらない。

1本目ブランドの代名詞、音叉時計「アキュトロン」

1960年、機械式時計が主流の時代に誕生した「アキュトロン」。“時計の歴史を変えた”と評された音叉式電子機能は、水銀電池の電力で音叉を振動させる、まったく新しい技術だった。音叉の振動を緻密な歯車を通して針の動きに変換することで、それまでの機械式をはるかにしのぐ月差1分以内という高精度を実現。腕時計業界の度肝を抜いた。この「アキュトロン」が世界に『ブローバ』という名を広めたこともあり、デザインを引き継ぎつつクォーツ式となった後継機においてもブランドのロゴにはこの音叉マークが使用されている。

2本目月に行った腕時計「ムーンウォッチ」

『ブローバ』の高精度な機構はNASAからも注目され、採用はかなわなかったが公式腕時計として『オメガ』の「スピードマスター」と争った経緯を持つ。その熱意は後継機へも引き継がれて月への宇宙飛行へと用いられるようになり、1971年にアポロ15号が4度目の月面着陸に成功した際に船長が月面で使用したモデルとして有名となったのがこの「ムーンウォッチ」である。タキメーター機能を擁した高精度クロノグラフは復刻され、今でも高い人気を獲得している。

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3本目腕時計を曲げるという発想から生まれた「カーブ」

独自の技術変遷を送ってきた『ブローバ』が2016年に新たに誕生させたのが、世界初となるカーブしたクロノグラフムーブメントを搭載した「カーブ」コレクションだ。“時計があるべき形は何か”という視点から、これまでのクロノグラフムーブメントでは不可能だった流線型の人間工学に基づいた設計を実現。過去の常識では考えられないムーブメントとケース、ダイヤルのフィット感に加え、独自の高精度クォーツを搭載した『ブローバ』の技術革新の最たるモデルだ。

今買える名作。『ブローバ』の人気腕時計8選

140年を超える歴史が生み出す画期的技術と宝飾由来の美しい造形美が魅力的な『ブローバ』は、上に掲げた3つの名機に負けずとも劣らない数々のラインアップを抱えている。中でも高い人気を誇る8モデルを紹介していこう。

モデル1プレシジョニスト クロノグラフ

一般的なクォーツムーブメントに比べて6倍の精度を誇る高精度クォーツを搭載し、1秒間に16ステップという細やかな秒針の動きによる“スイープ運針”を実現した「プレシジョニスト」シリーズ。さらに、1/10秒と1/100秒両方を計測する12時カウンター、時・分カウンター、レトログラード表示の1/1000秒計測器という4つのサブダイヤルを配置したクロノグラフ仕様によりメンズ好みのメカニカルさを加速させている。50mmサイズのケースも相まって、腕元の存在感は別格だ。

モデル2マリンスター

100m防水を施した「マリンスター」シリーズは、ダイバーズウォッチのエントリーとして最適なモデルを揃えている。なかでもこちらは王道のダイバーズを象徴する1本。ブラックベゼル&フェイスと視認性の高いインデックスデザインが特徴で、オン・オフを問わない汎用性の高さが魅力だ。また『ブローバ』らしい精度の高いクォーツムーブを搭載しているうえ、コストパフォーマンスにも優れているのもうれしいかぎり。

モデル3ヴィンテージ

飽きのこないタイムレスなルックスでその名のとおりレトロな印象の「ヴィンテージ」。40mmのミニマルなゴールドケースやドーム型風防、型押しのレザーストラップといったクラシカルなディテールは腕時計本来の味わいを楽しませてくれる。インデックスにはミリタリーモチーフのアラビア数字を採用しつつ、ミニマルなデイト3針仕様にすることで視認性も確保した。昨繊細な印象のゴールドケースは今のファッションとの親和性も高く、長く愛用することができる。

モデル4シーキング

高気圧防水や316Lステンレススチール、逆回転防止ベゼルなどを搭載したダイバーズウォッチの最上位モデル「シーキング」。『ブローバ』が独自で開発した、標準のクォーツ式の8倍の制度を有するUHFムーブメントを搭載している。また、ベゼルのビス打ちや武骨なシルバーケース、凹凸のあるタフなラバーベルトなど、海を愛する武骨な男にはたまらない抜群の存在感をアピールできる。

モデル5オートマチック

高性能クォーツが注目される同ブランドは、機械式モデルにもこだわりがたっぷり。「オートマチック」シリーズには、精密な作りのムーブメントの動作をうかがえる、スケルトンデザインを採用した機械式が揃う。とくに惹かれるのは、見るからにメカニカルな印象のこの1本。大胆にくり抜かれたスケルトンフェイスからのぞく緻密なムーブメントと、ビス打ちされた近未来的なシルバーケースが男心をくすぐる。見た目から人と違う機械式時計を身に着けたいのであれば、ぜひ。

モデル6ミリタリー

第ニ次世界大戦中に米軍のために実際に開発された過去のアーカイブをデザインソースとした「ミリタリー」コレクション。肌にやさしく、軽さ・強度に優れた316Lステンレススチールを採用したスクエア型ケースと視認性の高いブラックフェイス、アーミーなオリジナルナイロンベルトでファッション性にも優れている。また、上に出てきた「プレシジョニスト」や「シーキング」など限られたモデルにしか搭載されていない高機能UHFムーブメントも搭載。

モデル7エアロジェット オートマチック

近代的な機械式モデル「オートマチック」とは異なり、1960年代のディテールを懐古した「エアロジェット オートマチック」。当時見られた文字盤上の十字ラインとバーインデックス、6時位置から機構を味わえるオープンハート仕様が特徴だ。品のあるローズゴールドPVD加工を施した41mm形ケースと型押しレザーストラップが、クラス感のある手元を演出してくれる。また、いちいち腕時計をはずさずに操作できる2時位置のリューズもユニークな意匠だ。

モデル8アキュスイス ペルシュロン

スイスに生産拠点を設けたことで注ぎ込まれた熟練のクラフトマンシップ。その情熱と技術を高い次元でアウトプットしているハイグレードラインこそが、「アキュスイス」だ。その独特のデザイン性が反映された「ペルシュロン」の機械式モデルは、都会的なスマートさと建築物のような芸術性を兼ね備えたモノトーン仕様。4つのビス留めと厚みのあるシルバーは華美過ぎず品良くインパクトを残す。機械式にもかかわらず、10気圧防水という高い防水性を実現している点にも注目したい。

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