ダブルジャケットはどう着る? 選び方&着こなし方一問一答

ダブルジャケットはどう着る? 選び方&着こなし方一問一答

スーツのクラシカル回帰が進むなか、ダブルジャケットが再注目されています。ハードルが高いように思えますが、初心者にも優しい選び方や着こなしを紹介しましょう。

池田 やすゆき

2019.02.04

アウター
ジャケット
テーラードジャケット

クラシック回帰の傾向で、ダブルジャケットが再注目されています

ここ数シーズン、多くのブランドからダブルブレストのジャケット&スーツが提案されています。クラシック回帰といわれるスーツのトレンドに合わせて、最初はデザイン性の強さから敬遠していた人たちも、「ダブルもなかなか良いね」と評価が変化しつつあるんです。

ただ単純にテーラードジャケットの前立てをダブル(2列)にしただけではない、ダブルブレストのジャケット。その生い立ちや効果的な活用方法を知ることで、もっと着こなしが楽しくなりますよ。

一問一答で身につける、ダブルジャケットを攻略する方法

定番のシングルブレストのジャケットと比較して、ハードルが高いと感じるダブル。ですが、ご心配なく。その選び方や着こなしのポイントを、一問一答形式でご紹介します。

▼Q1:着こなしを知る前に。そもそもダブルジャケットの起源とは?

▼Q1:着こなしを知る前に。そもそもダブルジャケットの起源とは?

現在主流となっているシングルブレストは英国貴族の執務服が起源とされ、今から100年ほど前に現在の形になったと言われています。それ以前は西洋美術の絵画に見られるような、体のラインがぴっちりと浮き上がる、中世貴族のようなボディスーツが主流でした。歴史の教科書で見るような、あの白いタイツを想像していただければ分かるでしょう。

ダブルブレストがどのような服から派生したのかには諸説ありますが、その1つに「海軍の制服」という説があります。海軍兵が船の甲板で強い風が吹きすさぶなか、微動だにせず直立しているときに風が吹き込むのを防ぐため、ダブルブレストの外套(がいとう)を着ていたというのです。

とはいえ、これだけでは私たちが知るダブルブレストとは少し縁遠いかもしれませんね。馴染みあるところで解説すると、たとえばピーコート。リーファーカラーと呼ばれる大きな襟が特徴的なピーコートは、風向きに合わせてフロントの合わせを変えることができるようになっていました。

右方向からの風が吹いている時は右前を上に、左方向の風が吹いている時は左前を上にすることで、風がジャケットのなかに吹き込まないようになっています。このピーコートの実用的なデザインから派生して、今のダブルブレストが生まれたといわれています。

▼Q2:「ダブルジャケット=貫禄」というイメージはどこからついたもの?

▼Q2:「ダブルジャケット=貫禄」というイメージはどこからついたもの?

ダブルと聞くと厳ついイメージがつきまといます。これは軍服由来という男臭さがあるからなのですが、もう1つの理由に「バブルの頃、お金持ちの間で流行したから」というイメージがあるようです。

80年代後期のバブル経済下、主に不動産系の“オヤジ”の間でダブルのスーツが流行ったんです。たまたまその当時の先鋭的なデザイナーズブランドのトレンドが肩パット入りのソフトスーツだったところに、日本の好景気が重なってそのブームが起きたので、ダブルのスーツにセカンドバッグというスタイルがバブルの象徴となりました。

▼Q2:「ダブルジャケット=貫禄」というイメージはどこからついたもの? 2枚目の画像

バブルをけん引していた厳ついおじさんたちが愛用していたという記憶が、今もダブル=貫禄がある、着こなしづらいというイメージを残しているのです。

しかし今の時代のダブルジャケットは当時のダブルとはまったくの別モノです。シルエットはスリムかつコンパクトになり、肩幅が変るほどのパッドも入っていません。もちろんセカンドバッグを合わせる必要もありません。

▼Q3:今選ぶべきダブルジャケットってどんなタイプ?

10年ほど前に某ラグジュアリーブランドがダブルブレストのジャケットを提案したとき、それまでのダブルとはまったく違うシルエットに業界が震撼しました。それまではピークドラペルが胸元に雄々しく張り付き、ショートコートのようにヒップがしっかり隠れる着丈で、パンツも今よりゆったりしたシルエットが主流でした。

しかし新型ダブルジャケットは、肩はコンパクトでピークドラペルは細身、着丈もハーフヒップというすっきりとしたデザイン。しかもスリムパンツを合わせていて、まるでダブルのライダースをテーラードジャケットにアレンジしたか、あるいは60年代のモッズがあえてジャケットをダブルにしたかのようなロックなイメージのスタイルだったんです。今どきのダブルは、この新型をベースに時代に合わせて進化させたモノ。最近では機能性の高い生地を使用し、快適な着心地にこだわったモノが多く見られます。

▼Q4:ダブルのジャケットを着ていくと、会社で悪目立ちしない?

ダブルジャケットって前項でお話しした“貫禄”のせいで、若年層には似合わない印象がありますよね。ただ、バブル時代のような肩パッド入りの厳ついものだと会社で浮いてしまいますが、今どきダブルは当時とは比べものにならないぐらいコンパクトなシルエットでモダンに着られます。ボタンを閉めればウエスト部分がよりすっきりと仕上がり、厳つさはみじんも感じられません。

なのでQの答えは、“現代では問題なし”。ですが、お年を召された方のなかには「ダブルブレストは目上が着るもの」というイメージを持たれている方もいますので、ご注意を。ちなみに、タイドアップにはジャケットの主張を活かせる細幅のタイがおすすめです。

▼Q5:ダブルジャケットを選ぶときに気をつけることは?

今どきのダブルジャケットのポイントは、昔と比べてコンパクトに進化したフォルムにあります。ウエスト部分をよりタイトにホールドしてくれる分、シングルブレストのモノよりもよりサイズコンシャスな着こなしを楽しめるというわけですね。

ですが、昔のシルエットを知らない人からするとダブルジャケットのデザインはそれでもクセの強いもの。「どこがコンパクトなのかわからない」「何を選べばいいかわからない」という声も思いますので、モダンな1品を見立てるポイントを以下にまとめてみました。

1.肩パッドが薄い、または使われていないこと。
2.袖付け部分がビルドアップされていない(盛り上がっていない)こと。
3.ピークドラペルが大きすぎないこと(ただし、わざとワイドラペルにしているデザイナーズブランドもあります)
4.前立てのボタンは6つか4つ。
5.着丈はヒップが覗くぐらいの短め丈。
6.ボタンを掛けたとき、ウエストがぴったりスリムフィット。

これらの条件を3つ以上満たしていれば、今どきのダブルジャケットといえるでしょう。

▼Q6:はじめてのダブルはスーツ、それとも単品ジャケットを選ぶべき?

用途にもよりますが、はじめてのダブルならまずはカジュアルにも着られる単品ジャケットで挑戦してみるのも良いでしょう。

シルエットやデザインのセレクトはQ5の回答に準じますが、もう1つのポイントとして“織り感”のある素材選びです。いわゆるウールサージのような、つるっとした梳毛素材のダブルはどうしてもドレス感が強くなりますので、「似合わないかも」と感じたらホップサックやブークレーなど、カジュアルに見える素材を試してみるのも1つの手段です。カジュアルな素材でもドレッシーに見せてくれるのが、ダブルジャケットの良さでもあります。ビジネス用に選ぶなら、ネイビーのフランネルなど、やはり紡毛系の素材がいいですね。

▼Q7:ダブルジャケットってカジュアルにも着られるの?

ダブルジャケットはドレス感が高いので、ビジネスやフォーマル用と思われているかもしれませんが、今どきダブルは仕立ても素材も軽快でカジュアルなタイプが揃っています。スタイリングさえ気を配れば、オフに着ることだって可能です。とくにタートルニット&ダブルジャケットという組み合わせなら、ドレスコードのゆるい業種や休日のデートにも使えるはずです。

もちろん、シャツと合わせたきれいめカジュアルでもOK。タイドアップするととたんにキマリすぎてしまうので、まずはノータイでシャツの襟元を開けてラフに着こなしてみましょう。ボトムスは細身を選んだほうがモダンでスタイリッシュな印象です。ホワイトジーンズやチノパンなど、カジュアルなパンツを合わせたほうがダブルの重厚感を払しょくできますよ。

▼Q8:さすがにスポーツMIXに着こなすのは難しい?

ダブルジャケットを手っ取り早くスポーツMIXに着崩すならスニーカーが便利です。ボトムズはジーンズをあわせて足元は『ニューバランス』なんて組み合わせがおすすめですよ。ただ、中途半端な着崩しはとたんに“厳つさ”が顔を出しますので、シルエットは細身、シャツやタイドアップ
ハイネックトップスなどによるクリーンなスタイリングを心がけましょう。

▼Q9:初心者におすすめの、ダブルジャケットのコーデテクを教えて

ここまでうんちくを並べてきましたが、では実際どうきこなすのが正解? という疑問にお答えするコーディネート事例をピックアップしましょう。

コーデ1ジャケパンなら、紺ジャケ感覚で紺無地タイと合わせる

シングルジャケットと同じ感覚で着ても、コワモテにならないのが今どきのダブルジャケットのいいところ。白シャツ&紺の無地タイによるコーディネイトは鉄板です。ボトムスはグレーパンツでもOKですが、ベージュのチノパンにしてカジュアルな気分をプラスするのが◎。

コーデ2カジュアルでも色を統一するとクリーンさをキープ可能

ジーンズなどでカジュアルダウンして使用する際に、ブラックやグレーのシックなダブルジャケットでは物々しくなりすぎてしまう場合もあると思います。そんなときは、インナー、ジャケットをネイビー〜ブルーの配色でまとめればOK。統一感が出るためきれいめにまとまりつつ、カジュアルアイテムによるラフさも担保できますよ。

コーデ3変化球で、カーディガン感覚でカットソーに羽織ってもOK

ボタンを閉じずに羽織るスタイリングなら、よりカジュアルな印象に。インナーはカットソーぐらい振り切った方がリラックスした気分を煽ります。ゆるめのジーンズ&スニーカーというのもラフな感じで好印象。ジャケットの素材はニットやリネンなど、できるだけカジュアルなほうがいいですね。

▼Q10:旬のダブルジャケットが揃うブランドが知りたい

最後にこれまでの条件を満たすおすすめブランドをいくつかピックアップ。旬度が高い5着をご紹介しましょう。

ブランド1『タリアトーレ』

いまや破竹の勢いの、イタリアの南端プーリア州マルティナフランカのファクトリーブランド。短めの着丈と、高い位置でウエストを絞り込んだ美シルエットが特徴的です。こちらはその代表的なモデルである、「モンテカルロ」。シャドーウインドウペンの織柄が浮き上がるウール素材は、単なるネイビージャケットとはひと味違います。

ブランド2『ザ・ジジ』

『ボリオリ』から独立したデザイナーのピエルイジ・ボリオリ氏が手がけるシグニチャーブランド。「DON'T LOOK BACK(過去を振り返るな)」と入ったループがデザイナーの意識を表す新進ブランドは、従来のメンズファッションでは見られないような個性的な素材を使うことで知られています。こちらのダブルジャケットは「ジギー」モデル。モダンなへリンボーンの織り模様に、このブランドの定番であるヴィンテージ風の足つきボタンがオリジナリティを醸し出します。ボタンが8個もあるとカッチリ感が強く出がちですが、ボディと近似色に揃えているためそこまで目立ちません。

ブランド3『ラルディーニ』

ラペルについた花飾り(ブートニエール)がブランドアイコンとなっている『ラルディーニ』。今主流の軽い仕立てのジャケットを得意とするファクトリーブランドです。その軽快な着心地を表すかのように、本アイテムのモデル名は「イージー」。一見普通のネイビーのダブルジャケットですが、生地はソラーロ生地にヴィンテージ加工を施したモノ。「一見普通なのに、おしゃれに見えるな」と思わせるジャケットなら、このブランドから選べば間違いありません。

上質を知る大人の服。ラルディーニを着て襟を正す

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アンコン仕立てのジャケットブランドとして、日本はもちろん本国イタリアでも評価の高い『ラルディーニ』。あらためてブランドの魅力についてご紹介しましょう。

池田 やすゆき

ブランド4『イレブンティ』

今どきな軽い仕立てのジャケットを得意とするミラノのブランド。ダブルの「雄々しさ」を引き立てるピークドラペルを細身にすることで、スマートな印象に仕上げたジャケットは、カットソーの上から羽織ってリラックスしたスタイリングも似合います。クラシカルなハウンドトゥース柄が昨今のトラッドブームにもうれしい限り。

ブランド5『チルコロ1901』

もともとカットソー生地やジャージー素材を扱うのに手慣れたファクトリーだけに、ジャージージャケットにも定評があります。伸縮性に富む素材なので、着心地は軽いのに、見た目はきちんと上品。そのため、“会社に着て行けるジャージージャケット”として人気です。こちらはデニム風のジャージー素材を使った1着。スウェットシャツを着ているかのような快適さに驚くはずです。

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