ミリタリーウォッチを語れる男になろう。その魅力を徹底解説

ミリタリーウォッチを語れる男になろう。その魅力を徹底解説

戦場における実用品として誕生したミリタリーウォッチ。そのルーツを知れば、愛用の1本にもっと愛着がわいてくるはずだ。その歴史に迫りつつ、人気ブランドを掘り下げる。

編集ムタガミ

2017.12.13

腕時計

明日から“ミリタリーウォッチを語れる男”になろう

我々が何気なく腕にはめている、ミリタリーウォッチ。比較的手が届きやすい価格のモデルも多く、何より視認性が高く機能的なためオフにヘビロテしている人も多いのではないだろうか。このジャンルは、発祥の歴史やディテールの意味など、知れば知るほど奥が深い。ここでは、「歴史」「機能」「ブランド」の3本柱で明日から使えるうんちくを“必要な分だけ”ご紹介していく。“ちょっと腕時計に詳しい男”を気取れるトリビアをぜひ吸収して欲しい。

歴史:ミリタリーウォッチはすべての腕時計の起源である

19世紀後半ポケットから出さずに、時間を確認できる時計が欲しい

トレンチコートやGPS、ランドセルに電子レンジと、軍隊発祥のものは身近に数多くある。腕時計もまた、そんな戦場の需要から生まれたアイテムのひとつだ。

歴史:ミリタリーウォッチはすべての腕時計の起源である

19世紀末、激化の一途を辿る戦場において重要視されるようになったのは“時間”だった。複雑化する作戦を効率よく遂行するためには、全軍がタイミングを揃えて行動することが必要となってくる。それまで将校たちは支給された懐中時計を取り出して時間を確認していたのだが、迅速に時間を確認するために懐中時計を腕にくくりつける者が現れ始めた。よりスマートに、より合理的に、そんな彼らの要望に応える形で製作されたのが初の腕時計といわれており、第一次世界大戦を機に定着したという説がしばしば唱えられている。今では当たり前となっている防水、耐磁、耐衝撃というような要素も、戦場における“必要”から発達してきたのだ。

20世紀初頭〜中盤2度の大戦で洗練、コストカットを繰り返す

歴史:ミリタリーウォッチはすべての腕時計の起源である 2枚目の画像

19世紀末に戦場で生まれたミリタリーウォッチ。しかし20世紀初頭においてはまだまだ高価で、とても一般層に手の届く代物ではなかった。まずは出身階級の貧しい士官やパイロット、潜水部隊など軍の中でも時間の把握が命に関わるところから支給が始まった。続く戦争の中で各軍は時計ブランドにさらなるコスト削減を要請。機能に特化した腕時計が生まれる裏では、戦場で使い捨てできるシンプルな腕時計も進化を続けていたのだ。ここで、特殊部隊用の高機能なハイミッション系と、一般兵用の量産品にミリタリーウォッチは二分されていくことになる。

20世紀後半クォーツショックを機に普及した腕時計

1969年、日本の誇る『セイコー』がそれまでの機械式時計の精度をはるかに凌駕するクォーツ時計・アストロンを開発。低コストで実用的な腕時計を量産できるようになり、スイスをはじめとした老舗ブランドが大打撃を受けたいわゆる「クォーツショック」は、腕時計が雲上のものであった庶民にとっては画期的な出来事だった。大衆化の波はミリタリーウォッチにも押し寄せ、誰もが腕時計を持てる時代においては軍が官給する意味は薄れていった。腕時計はメーカーにより大量生産されるようになり、特にミリタリーウォッチはその機能性と視認性の高さから一般層になじみ深いものとして広く普及していくことになる。

機能:ミリタリーウォッチが愛され続ける理由

ミリタリーウォッチは、数多くある腕時計の中でも長期間にわたって愛されているジャンルのひとつ。その魅力の根源とは何か、簡単に3つのポイントで解説していく。

ポイント1視認性に徹した機能美あふれるルックス

大ぶりなアラビアインデックスや見やすいデイト表示など、ミリタリーウォッチの文字盤はシンプルさと見やすさがウリ。モノによっては暗闇でも時分針を各印できる蓄光機能や24時間表記のアワーサークルなども搭載しており、悪天候下や夜間でも現在時刻をひと目で把握できる工夫が詰め込まれている。

ポイント2劣悪な環境をものともしないタフネス

雲の上から深海、高温多湿のジャングルに極寒の雪山まで、ミリタリーウォッチが必要とされる環境は多岐にわたる。写真の『ハミルトン』カーキネイビーなどは、耐圧を備えたアメリカ海軍特殊潜水部隊モデルがベース。深海300mまで潜ることのできる耐圧性能を備えており、ねじ込み式リューズで内部への浸水も防止する完全防水仕様だ。空軍モデルなら機器から発せられる磁気に対する耐磁、低温の環境なら油が固まらない特殊素材の使用など……、都市で生きる我々にはオーバースペックだが男心をくすぐる魅力がある。

ポイント3歴史、由来を感じさせる粋なデザイン

かつて特殊部隊で使用されていた、20世紀中盤に英国空軍に採用されていた……、などの歴史に思いを馳せるのもミリタリーウォッチの醍醐味だ。中にはその由来を腕時計のデザインの中に落とし込んでいるモデルもある。例えば『ルミノックス』のネイビー シール 3000シリーズはアメリカ海軍の特殊部隊の装備として開発された経緯があり、裏ぶたにその紋章を刻むことでスペックを誇示している。それらを眺めて楽しむ愉悦は、いい年になった大人だからこそ分かってくる。

ブランド:ミリタリーウォッチの歴史に名を刻む、手の届く名門ブランド

腕時計の歴史はミリタリーウォッチの歴史、ミリタリーウォッチの歴史は軍隊の歴史。 “腕時計”を飛躍的に進化させてきたのは軍隊で使用されながら揉まれ、戦場でフィードバックを得て真摯に試行錯誤を重ねてきたブランドたちだ。ここでは歴史の立役者たちの偉大な業績と、今購入できるマスターピースを価格順に紹介していこう。

ブランド1世界で最も売れた時計を軍用時計に昇華した『タイメックス』

当時まだ「ウォーターベリークロックカンパニー」と名乗っていた『タイメックス』。1880年代に“ドルを有名にした時計”の異名を持つ驚異の1ドルポケットウォッチ・ヤンキーを開発し、20年間で4000万本を販売、当時最も勢いに乗っていたウォッチブランドだった。第一次世界大戦において、ヤンキーに注目した米軍はさらに携帯性を高めた軍用時計を製造するよう要請。その時誕生したミジェットは大ぶりのオニオンリューズに細身のラグという、懐中時計の面影を残したミリタリーウォッチの元祖とも言えるモデルだった。戦後は民間人からも支持を集め、1920年代の大ヒット商品として記録に残っている。

ブランド2第二次世界大戦で軍用時計を100万本生産した『ハミルトン』

もともと急速に広がっていたアメリカ鉄道会社に時計を卸していた『ハミルトン』も、1914年、第一次世界大戦の始まりとともにミリタリーウォッチブランドとしての歴史を刻み始める。1920年代には戦時中に得られたフィードバックを元に、腕時計を発売。第二次世界大戦においてはアメリカ政府の要請を受け、なんと計100万本以上もの腕時計を生産することになる。この時、軍隊内の時刻合わせの掛け声にちなみ「ハックウォッチ」と呼ばれていた手巻き式腕時計こそが『ハミルトン』定番中の定番、カーキシリーズとして現在に続くオリジンだ。タフなキャンバスベルトが、大人のオフにちょうどいい。

ブランド3米国空軍に愛された『オリス』のビッグクラウン

気温が氷点下まで下がることのある1940年代の戦闘機のコックピット内では、分厚いグローブが必需品だった。グローブを着用したままでも腕時計を操作しやすいよう、『オリス』が提案したのが大ぶりのリューズが当時画期的だったビッグクラウンだ。今では当たり前のように感じられるリューズのサイズも、戦場における需要から考案されたものなのである。今作はデイト(日付)を4本目の針で感覚的に視認できるようにしたポインターデイト。これもまた、利便性から生まれた機能だ。

ブランド4現役ドイツ軍パイロットが開発した“技術の『ジン』”

『ジン』の正式名称は「ジン スペツィアルウーレン」。日本語訳すると「ジン特殊時計株式会社」という意味になる。大戦を経験し、ドイツ軍パイロットで飛行教官でもあったヘルムート・ジン氏が自身の経験を元に1961年に立ち上げたブランドだ。かつてドイツ空軍に納入されていた名品156Bは残念ながら廃盤となってしまったが、今作103.Bなどの基本モデルにもプロユースを意識したモノづくりは受け継がれている。今では貴重になってしまった高精度な名機「Cal.7750」を惜しげもなく搭載し、日常生活で使い勝手の良い両方向回転ベゼルを採用している。

ブランド5英国空軍に正式採用された『IWC』の名作、その末裔

大戦中である1940年代、各国が自社時計ブランドで軍用時計を生産していた時代に、力のある時計ブランドを有していなかったイギリスは永世中立国であるスイスのメーカーにその生産を委ねていた。その際空軍において正式採用されていたのが、現在の『IWC』の主力モデル、パイロット・ウォッチ18の元祖となる腕時計である。コックピット内の振動、圧力、温度変化、磁場に耐え得る耐磁時計の世界基準とまで謳われた名作のDNAを感じることができる、完成度の高い一本だ。今選ぶなら、ブランドと親交の深かったサンテグジュペリ氏へのオマージュモデルを選ぶのも、面白い。ベルトはサントーニ製。

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