スペックに惹かれる男心。ダイバーズウォッチの選び方と人気モデル

スペックに惹かれる男心。ダイバーズウォッチの選び方と人気モデル

機能美にあふれ、力強く、背景のあるダイバーズウォッチ。いつの世も、モノにこだわる男を虜にしてきた腕時計の中から、我々が選ぶべきモデルを解説しよう。

編集ムタガミ

2018.12.27

腕時計

メンズウォッチのスタンダード。ダイバーズウォッチに惹かれる

空のプロである飛行士に支給されたパイロット(ミリタリー)ウォッチに対し、海のプロである潜水士に愛用されてきたダイバーズウォッチ。腕時計にとって大敵とされる水圧との闘いとなる深海への挑戦を続けてきただけあり、その耐水性能はおよそ生身の人間にとって無用ともいえる深海数百メーターに達するモノも少なくない。文字通り、都市生活者においてはオーバースペック。だが、そんな腕時計に惹かれるのもまた男心であり、ダイバーズウォッチは長らくメンズ腕時計の主力カテゴリとして鎮座してきた。

スペックと同時に、そのルックスも時代を問わず支持され続けている理由である。潔く視認性の高いインデックスに、ソリッドな回転ベゼル、そしてケース自体にも厚みがあり、着用していると金属の塊ともいうべきその存在感に圧倒される。スーツの腕元に合わせた際にも、その重厚感から信頼と誠実さの象徴として良い働きをしてくれる。もちろん、カジュアルスタイルのアクセントとしても申し分ない。この懐の深さはデジタルウォッチやドレスウォッチには真似できない、ダイバーズウォッチならではの利点だろう。

ダイバーズウォッチを選ぶときにチェックしておきたい4つのポイント

ダイバーズウォッチを、ドレスウォッチやパイロットウォッチなどほかの腕時計と差別化するディテールや機能がいくつか存在する。これからダイバーズウォッチを検討する、という方は以下の4つのポイントに気を配ってみると良いだろう。

ポイント1どれぐらいの水圧に耐えられるかを示す「防水性能」

プロダイバーの装備品として位置づけられるダイバーズウォッチなのだから、やはり防水性能は必須条件。一般的に、実用に足ると判断されるのが200m防水からと言われている。このメーター数は、あくまで静止状態でどれぐらいの深さまで耐えられるかという数値。泳ぐ、潜水するなど動きを伴う際は、その数値の限りではない。

200m防水…サーフィン、水泳などのマリンスポーツに対応可能だが、潜水することは難しい
300m防水…本格的にダイビングに使用できるのはここから。飽和潜水と呼ばれる体組織にヘリウムを飽和状態になるまで浸透させてから行う深海での作業には対応していない
500m防水〜…飽和潜水士、職業潜水士が海底でサルベージ作業などを行う際に、ようやく必要になるレベル

つまり、実際は200〜300mもの防水性があれば十分ということ。昨今では1000m超えの防水性能を謳うモデルもあるが、そこはもう男のロマンとでも言うべき世界だ。

ポイント2腕時計への磁気による影響をシャットアウトする「耐磁性」

防水性能ばかりに目が行って、見落とされがちなのが耐磁性能。目に見えない磁力まで考えて腕時計を買わないよ、という方が多数だろうが、デジモノに囲まれている現代においては機械式腕時計の寿命を延ばす大切な要因だったりする。大手メーカーが、ひげぜんまいをシリコンに切り替えるなどの動きもその一環だ。そして、この耐磁性能もダイバーズウォッチをダイバーズウォッチとして位置づけるスペックの1つである。

ISOまたはJIS規格における第一種の耐磁性を有していることが、ダイバーズウォッチの条件とされている。この第一種とは、磁気を帯びた製品から5cmまでの距離であれば機能に支障が出ないことを保証するもので、数字で表すと4,800A/mとなる。それでも5cm以内には近づけてはいけないのかと驚かれるだろうが、一般的な腕時計は1,600A/m。テレビや携帯電話のスピーカー部ですら影響があるのだから、いかに腕時計が磁気に弱い製品かお判りいただけることだろう。ぜひ耐磁性能も、購入時の判断基準としてほしい。

ポイント3潜水時間を計るための「回転ベゼル(インナーベゼル)」

ダイバーズウォッチにおいてルックスの大きな比重を占めているのが、この回転ベゼル。もとは潜水時に、自分が何分潜っているのかを計測するために便利な意匠として誕生したものだ。12時位置にあるポイントを潜水開始時の時刻に合わせておくだけなので、ウェットスーツを着用した指先でも容易に操作が可能。現在では、潜水時にベゼルが逆行してしまい命に係わる事故が起こることを防止すべく、一方向へのみ回転する「逆回転防止ベゼル」が主流になっている。

とはいえ、陸にいる我々にとってはあくまでデザインの1つ。いわゆるペプシカラーと呼ばれるレトロな赤青のステンレススチールのものから、光沢の美しいセラミック、経年変化を存分に楽しめるブロンズとその素材の種類も今では多岐にわたっている。ビジネスシーンにも使うのか、カジュアルスタイルのアクセントとして取り入れるのかなど、目的に沿って選ぶと良いだろう。

ポイント4深海でも高い視認性を誇る骨太の「インデックス」

薄暗い水中を想定して作られるダイバーズウォッチ。ならば、その視認性もまた命を守るためのツールとしては不可欠なディテールだ。インデックスと時分針には夜光塗料が塗布されているだけでなく、そのインデックスも大きく数字をあしらったり視認性重視のドットを採用していたり、針も同様にどこを指示しているのかがひと目でわかる幅広のものを載せている場合が多い。それらの要素が結果として、ダイバーズウォッチの武骨で男らしいルックスを作り上げているのである。機能がデザインに昇華された、良い例だろう。

ダイバーズウォッチといえど、スペックに過信しすぎるのは注意が必要

ダイバーズウォッチといえど、スペックに過信しすぎるのは注意が必要

たとえ200m防水を備えているモデルでも、積極的に水にさらして良いわけではない。たとえば身近なNG例としては、温泉や浴場への持ち込み。シャワーの水圧は我々が思っているより高く、かつ熱湯による防水パッキンの変質・変形は重大な問題を引き起こしかねない。また、時刻や日付を修正した際にねじ込み式リューズをねじ込み忘れる……、なんてミスをした日には目も当てられないことになる。

上記のスペックは、日常生活において「あると安心」ぐらいにとらえておいたほうが良いだろう。

まずはここから。ダイバーズウォッチといえば、の10モデル

ダイバーズウォッチに一家言あるブランドから人気モデルをピックアップ。古き良きテイストの復刻から、現代的で武骨な1本までより取り見取りに取り揃えた。

アイテム1『ロレックス』サブマリーナ デイト

高級腕時計の王者、『ロレックス』の「サブマリーナ」は1953年初出のモデル。それまでに『ロレックス』でもオイスターケースを採用したモノなど高い防水性を誇るモデルがあったが、いわゆるダイバーズウォッチとしては「サブマリーナ」が有名だろう。今作は2010年のバーゼルワールドで発表された1本だが、当時すでに完成されていたデザインは大きく変えず、クロマライトの夜光塗料にパラクロムヒゲゼンマイ、セラミック製のベゼルと現代的なディテールをふんだんに盛り込んでいる。

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アイテム2『オメガ』シーマスター 300M マスターコーアクシャル

その名が示す通り、300m防水を有する水中作業のプロに向けた腕時計として1957年に誕生した「シーマスター 300」。その当時のルックスを保ちつつ、ムーブメントやディテールを最新のものにブラッシュアップしたのがこちらのモデルだ。通常3〜5年といわれるオーバーホールの期間を約10年に伸ばすことに成功したマスターコーアクシャル脱進機の搭載により、15,000ガウスの耐磁性を獲得。ベゼルのインデックスもプリントではなく、リキッドメタルを使用することで耐摩耗性とルックスの美しさを両立させている。

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アイテム3『オリス』ダイバーズ65

1965年に誕生した『オリス』の人気モデルを復刻した、ファン垂涎の1本。日に焼けたようなインデックスやドーム型風防などにヴィンテージウォッチの面影を見ることができるが、その風防もサファイアクリスタルを使用するなど現代的な技術も落とし込まれている。カラーフェイスウォッチ隆盛の今、こんなグリーン文字盤も面白い。防水性能は100mだが、デザインを重視するならこういった1本もアリだろう。

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アイテム4『ブランパン』フィフティー ファゾムズ

1953年に『ロレックス』の「サブマリーナ」とともに、現代に続くダイバーズウォッチの基礎を築いたとされるのが『ブランパン』の「フィフティー ファゾムズ」だ。もちろんそれ以前から『パネライ』などが軍用の潜水時計を製造していたが、回転ベゼルを持ち、防水性・視認性を兼ね備えた“いわゆる”とでもいうべきルックスに仕上げたのはこの2社だった。

ダイバーズウォッチの国際規格が制定されたのが1993年のこと。当時の「フィフティー ファゾムズ」の性能はその規格をクリアするものだったといわれることから、レトロなルックスだけではない同モデルの高機能さがうかがい知れる。今モデルも300m防水を実現。

アイテム5『パネライ』ルミノール1950 サブマーシブル 3デイズ アッチャイオ

19世紀の設立当初より、イタリア海軍に蛍光物質・ラジオミールを使用した精密機器を納品していた『パネライ』もまた、ダイバーズウォッチのラインアップには欠かせないブランドの1つ。そのなかでも耐久性と視認性に特化した「サブマーシブル」シリーズには、まさにプロフェッショナルに向けた高スペックな腕時計が揃っている。

今モデルも、300m防水を誇るデカ厚ケースのに自社製造の自動巻きムーブメントであるキャリバーP.9010を搭載。3日間のロングパワーリザーブを備えており、実用性も申し分ない。ベゼルの存在感も特筆ものだ。

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アイテム6『ロンジン』レジェンドダイバー

デカ厚揃いのダイバーズウォッチのなかで異彩を放つのが、1960年代の伝説的モデルを復刻した『ロンジン』の「レジェンドダイバー」。回転ベゼルを文字盤の外円に配し、2時位置のリューズにより操作するインナーベゼルの採用により圧倒的にスマートな見た目を実現しているのである。ねじ込み式リューズやスクリューバックなど、ダイバーズウォッチとして必要なディテールはもちろん抑えており、防水性能は300m。メタルブレスのモデルも用意されているので、そこはお好みで。

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ブランド7『ジン』U2.S

腕時計大国ドイツからは『ジン』をレコメンド。「ジン特殊時計会社」という社名の通り、特殊環境下で活躍する腕時計が数多く展開される同ブランドだが、こと「Uシリーズ」はそのスペックの“変態性”でマニアからも一目置かれているモデルになる。

こちらの「U2」に使用されている素材は、ドイツの潜水艦にも使用されているUボートスチールに耐傷性を高めるテギメント加工を施したもの。防水性は圧巻の200気圧防水、さらに内部の水分を除去するドライカプセルの搭載、深海でも視認性を確保するアルゴンガスの充てんと、数え上げればきりがない。間違いなくプライス以上のスペックを有した、良い意味で“変態”な腕時計の筆頭である。

アイテム8『ブライトリング』スーパーオーシャン ヘリテージ クロノグラフ 44

パイロットウォッチのイメージが強い『ブライトリング』だが、海のプロフェッショナルに向けたダイバーズウォッチの製造を行っている。この「スーパーオーシャン」シリーズは1957年に発表されたもの。今作はその当時のレトロシックな風貌を保ちつつ、200m防水をキープした2カウンターのクロノグラフとしてブラッシュアップするなど、現代的な技術を盛り込んだ実用性の高い1本として仕上げている。どちらかというとシンプルな3針モデルが主流の「スーパーオーシャン」だが、せっかくの『ブライトリング』ならクロノグラフを選ぶのもオツだろう。

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アイテム9『ゾディアック』スーパーシーウルフ53

ヴィンテージウォッチ界隈で、マニアから高い支持を受けていたブランド『ゾディアック』。同ブランドが2014年に復活するにあたり、当時画期的な20気圧防水を達成した時計として注目されていた今モデル「スーパーシーウルフ」も復刻することとなった。熱狂的なファンが多かったため、アーカイブに忠実に再現された結果、当時の空気を存分に堪能できる1本に仕上がっている。ミネラルクリスタルを使用した透明感のあるベゼルは、清涼感がありなんとも心地良い。もちろん、20気圧防水。

アイテム10『ブローバ』デビルダイバー

なんとも物騒な名前だが、この“デビル(悪魔)”の名前は1960年代としては革新的であった当機種の防水性能666フィート(約200m)にちなんで名づけられたもの。オリジナルの名前は「オーシャノグラファー」という。

今回紹介するオレンジダイヤルのモデルは、1971年製造版と思われるものを復刻したもの。ダイバーズウォッチならではのレスキューオレンジが腕元に鮮烈な印象を与えてくれる。ケース径はレギュラーモデルよりひと回り小さい40.5mmとなっているので、日本人の細腕にも馴染みやすいだろう。

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アイテム11『セイコー』プロスペックス ダイバースキューバ

国産ダイバーズとして、「プロスペックス」を忘れてはいけない。同シリーズのダイバーズとしては外胴プロテクターを有した“ツナ缶”が有名だが、今回は同じく異名を持つ“モンスター”を紹介したい。

大ぶりな42mm径・14mm厚のケースに200mの防水性能を誇る“モンスター”。ブルーグレーの文字盤は、この腕時計が活躍する深海を思い起こさせる。極太のインデックスにルミブライトをこれでもかとあしらったインデックスは、極厚なベゼルに負けない存在感を放つ。人と違う「プロスペックス」が欲しいなら、ぜひ“モンスター”を検討してほしい。

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アイテム12『シチズン』プロマスター マリン

国産ダイバーズでも、より機能性に優れたモデルが欲しいとのことであれば『シチズン』の「プロマスター」シリーズからこちらをおすすめ。200m防水、ウレタンバンド、高い耐磁性能とプロユースを考慮したスペックに加え、『シチズン』らしく光発電エコ・ドライブに電波による時刻修正機能の搭載と普段使いにもうれしい1本となっている。深海のみならず、コンクリートジャングルにおいてもおおいに活躍してくれるはずだ。

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